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落ちてきた瓦礫が頭に当たったのだろうか、小さな女の子の頭からは赤い血が流れ、気を失ってしまっている。ルイは呆然とした顔で小さな女の子を抱き上げて、「大丈夫！？！」と声をかける。幸いまだ息はあった。
ハンカチを取り出してその額の血を押さえていると、鬱が銃を打つのをやめて、駆け寄ってくる。
「ルイちゃん！ 大丈夫！？ 怪我ない！？」
「だ、大丈夫です……」
正直なところ全然大丈夫なんかじゃなかった。顔を見るように頬を包まれて顔をあげさせられるが、ルイはもう胃から何かが迫り上がりそうだった。いつも人に守られてばかりだと、泣きそうになる。こんな小さな女の子にすらルイは守られてしまったのだと自責の念で吐きそうにすらなった。
そして横に座り込んでいた鬱は突然「な、なんやコイツ……気持ち悪……」と声を上げる。
気が付けばエーミールが近くにまで来て、立っていたのだ。
「嗚呼、映像で見たまんまや。小さな女の子を抱えながら殺されまいと私に銃を向ける」
かたかた、と銃を持ちながら震える手。ルイは目の前に立つエーミールに銃を向けていた。その右半身からはうねうねと黒い触手のようなものがでていて気味が悪い。
諦めたような表情、はやく撃ってくれとエーミールは殺されることを待っている。
「さあ早く、その子を守る為に殺さないけませんよ」
───さあ、はやく！
引き金を引いたのはその急かすような声と同時だった。一際大きく響いた乾いた銃声。
しかしその身体に穴が空いたのは、ルイだった。
「ァ、あ"あ"……！！！」
手のひらに穴が空いている。鬱も突然の出来事に驚いて目を見開いて、ルイの名前を呼ぶがその声すらも痛みで悶えるルイには聞こえてはいなかった。
「……すみませんルイさん」
急かされたのと同時に引き金を引いたはずだった。しかしパァン、という一際大きい音とともに先に撃たれたのはルイの手。撃った張本人が小さく謝罪をする、申し訳なさそうに歪んだその顔はルイを故意に撃ったようにはみえない。
「最後まで迷ってしまった。ルイさんがその子のことすごく大切にしてるから、アンタが未来でも大切にしてた子やから。……でもあの男は生かさないとダメなんです」
ショッピは、震えた声でそう言った。
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作者名：臓臓臓 | 作成日時：2020年8月5日 10時
