○ ページ25
.
俺の情報屋、という言葉が余程不満だったのだろう。眠そうなアメジストの瞳を余計にじっとりとさせて「別にアンタのじゃないです」とゾムを見つめるショッピと呼ばれたその男。
「なんや冷たいなァ〜」
「茶番とかええんでさっさと本題に入らせてくだ、さ⋯⋯」
肩を組まれ、余計に鬱陶しそうに身を捩らせ本題に入ろうとしたショッピは何故かルイを見るなり、固まった。ルイも見つめられてびくついている。
「⋯⋯⋯⋯それ、どこで買ったんすか」
「はぁ？ ⋯⋯それさっきのロボロと同じ流れやねんけど、ドレイちゃうし⋯⋯オレの光が簡単に女を食い物にするカス共に奪われる訳ないやろ⋯⋯」
「買った女ちゃうんすね、そうですか」
ショッピはその瞳を瞬かせて、ぎゅっと拳を握り締めた。ゆるりとゾムを押し退けたショッピはルイの前に立つ、自分よりもずっと小さいルイに少し視線を下げる。
「⋯⋯名前なんていうんですか？」
「えっ、あっ、ぅ、ルイです」
「⋯⋯ルイさん、」
きゅっ、と手を突然握られたルイは身体を震わせた。ショッピは繰り返しルイの名前を自分の中に刻むように呼んでじっと見つめる。
「あいたかったです、ずっと」
そしてミルクティーに砂糖が溶けるかのようにあまく、ずっとどこまでもあまい声でショッピはそう言った。
ハァ？？？？？ という顔でその光景を見せつけられていた鬱とゾムが二人の間に挟まるのはすぐだった。
「出会って早々、ボクのルイちゃん口説かんといてくれる！？」
「お前のルイちゃうやろ殺すぞ、お前も殺すぞショッピ」
ギュモッ、と二人の男に抱き締められて潰れるルイ。声も出せないのかジタバタとしている。それにしてもショッピのあいたかった、という言葉の意味は何なのだろうとルイはその大きなまあるい目でショッピを見つめ返すがアメジストの瞳が少し潤んでいること以外、何もわからない。その言葉はまるでどこかで会ったかのような、
「ええい、お前らここ俺の店やって分かっててやっとんのか！？ さっさと要件済ませろや！！！」
ぐるぐると回り出したルイの思考を打ち切るようにロボロは吠える。普通に商売の邪魔なのだろう、とんでもない程に不機嫌そうにしている。
「ホンマにさっさと済ませてくれへんと商売の邪魔やねん。夜市なんていつ何があるかわからへ、」
ボカン、と大きな破裂音とナニカの咆哮がその場に響き渡った。見事なまでなフラグ回収だ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1663人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：臓臓臓 | 作成日時：2020年8月5日 10時
