○ 強くなれよ ページ24
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『ルイ、この世界じゃ女はみんなもう人権はないに等しい。どいつもこいつも男に気に入られようと媚びを売るか、抵抗できんまま売られて飼われるかや。
⋯⋯でも強い女は別、強い人間はみんな生き残る。強くなって誰にも媚びを売らん女になれルイ』
不意にルイはゾムに言われたことを思い出していた。
ロボロの“欲しい”という発言はつまり自分をそういう目でみていた、ということだ。ああ、本当にこの世界じゃ女という性別は弱者としか扱われないのだな、とどこか遠い目をしながらそれを教えてくれたゾムをルイは見つめる。
ゾムはルイの視線に気付くと形のいい唇を歪め、慰めるかのように何度かその背中をぽんぽんと叩く。
「よしルイ、泣いたフリしろ」
「えッ？ え、っ、？ え、えーんえんえーんえん？」
「ロボロのせいでルイが泣いとるわ！！ 奴 隷でもなんでもない女の子をよう平気でそんな目でみれたなロボロ！ よーしよしよし可哀想にな、ルイを泣かせた罪は重いな！ 武器触らせるのタダにせえ！」
「待って、普段よう泣くくせに泣くふりするの下手くそなんマジ草なんやけど」
「なんやねんお前ら！！ 演技するなら最後までしろや！！」
ルイの沈んだ気持ちをさり気なくゾムは汲み取ったらしい、その空気は一変して気の抜けた緩い空間へと変わる。
────それをなんだこの空間、とそうテントに入ってきた男は思った。猫のように大きな瞳を瞬かせて、ふぅ⋯⋯と溜め息をつく。そしてとんとん、とそっと近くにあった板のようなものを指で数回叩き存在をアピールする。
「ゾムさん、来ましたけど」
少し舌っ足らずな口調で男はルイや鬱、そしてロボロとゾムを見渡したあと、またつまらなそうに息を吐く。その声に気が付いたゾムはワァッと嬉しそうに腕を広げた。
「ショッピくんやないスか〜！！！ チッスチッス！ 俺の情報屋！」
「別にアンタのじゃないです」
アメジストの瞳は眠たそうにゾムを捉えていた。
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作者名：臓臓臓 | 作成日時：2020年8月5日 10時
