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───それから数日が経ち、ルイはあの日のゾムが言った通り鍛えられていた。ゾムとの鍛錬はそれはそれは過酷なものだ。生傷が耐えない上に毎日吐くまでボコボコにされる、今も尚、彼女は地面に這いつくばってゲホッゲホッと噎せながら泣いていた。ほぼもう一方的なリンチだ。鬱も生々しいそれに眉を顰めてずっと遠くでみている。どうも混ざる気は一切ないあたりが鬱らしい。
「そういえば聞きたかってんけど、ルイの
「⋯⋯まだ、分からないです」
「ほーん、解放条件のアナウンスは？」
「ないです⋯⋯」
「じゃあまだ未知数やなぁ」
うん、と頷いてゾムはルイを無理矢理起き上がらせ「はよ構えろ」と低く唸る。ルイはまた身体を構えるとその横腹を間髪入れずにゾムは蹴り飛ばした。ゔッ、という声がルイからあがった。
「隙多すぎんねん、もっと相手の動き予測しろ。腰はもっと低く。ルイは背が低いんやから小回りはようきくし、相手の懐に飛び込む機会が多なんねんからそれ生かさな」
リンチも同然だが、しかし確実に、ゾムの言うことや教えることはルイの為になっていた。
「ええか、ゾンビも元は人間や。ルイの腕力ならまずは頭をかち割ったり首を折ったりするよりもずっと簡単なとこあんねん。ほら顎のやわい肉あるやろ、ここ、」
とんとん、とゾムがルイの顎の下にやさしく触れる。急に近くなった距離に鬱の険しかった顔は余計に険しくなる、どういう感情なのだその顔は⋯⋯と言いたくなるほど険しい顔だ。彼がトイレを我慢しているような顔に似ているような気もする。
「ここは人間でも無防備な場所や。あ゛ーあ゛ー言うてるゾンビがきたらナイフでココ一突きするだけでええ、そしたらゾンビは一瞬で動かんくなるから。あとはそうやな首の後ろの骨⋯⋯
もちろん人間にも同じことが言えんで、人間相手にどうしても殺したくない時は鳩尾、この胸と胸の間みたいなとこと。あと
確実に急所を狙いにいけば負けはせんよ、とゾムはにっこりわらう。
ルイは、少しずつではあるがゾムの手によって強くなろうとしていた。
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作者名：臓臓臓 | 作成日時：2020年8月5日 10時
