○ 悪魔のような嗤い声 ページ2
.
目を開くと深い海の色と目があった。
｢おはようルイちゃん、よぉ眠れた？｣
｢⋯⋯まあ、はい。お陰様で｣
｢気まずそうに目ぇ逸らさんといて、結構傷つくんやけど｣
｢⋯⋯ごめんなさい？｣
────⋯⋯あーあ、やってしまった。嫌いだと正面切って言いあった相手とやってしまったんだ。目覚めたら横にいた鬱さんにはしっかりゴムなんかも用意してもらって、散々喘がされた身としては情けないけど、流されちゃったなぁ⋯⋯と溜め息をつくしかなかった。しかも処女。
くぅ、と間抜けな音がお腹から鳴る。そういえば何も食べてない、あの時は慌ててたし、抱かれてたし⋯⋯。
｢お腹すいたん？ 缶詰とか入ってるリュックならそこにあるで｣
後ろのリュックを指を指す鬱さんは既にあの時のような弱々しい姿はもうそこにはなかった。
あるのはいつもの薄っぺらいぺらぺらの紙のような笑顔であの時見たのは幻覚？ と疑ってしまうくらいにはギャップがある。間違いなくみたんだろうけど、それでも鬱さんが何でもない顔をするから夢なんだったんじゃないかと思い込んでしまいそうで
⋯⋯ぷかぷかと煙草を吸っている鬱さんの横を抜けて、食料やら何やらを運んでいたリュックを漁る。
中見れば、缶詰や乾パンなど長持ちのしそうなものがたくさん入っていて、お腹を満たすためにそれに手を伸ばした。
その瞬間、また昨日のようにぐらぐらと揺れる地面。
ガタガタと揺れに伴ってロッカーは唸って、驚いた私は思わず頭を抱えた。
｢あちっ、ちょお、また地震！？ なんな⋯⋯｣
同時に獣の咆哮が聞こえてくる、大方昨日私達が見たものだろう。思い出すだけで全身の毛が立つような恐ろしい姿、今も目に焼き付いてる。また揺れは収まったがそれでも警戒するに越したことはない。
ごはん、食べてる場合じゃない
────ルイは未だに上裸の鬱にシャツを押し付け、取り出そうとしていた荷物をもう一度鞄の奥に押し込んだ。
｢ン、ご飯食べなくてええの？｣
｢⋯⋯死にたくないので後回しにします｣
｢懸命な判断やね、実はルイちゃんが寝とる間に遠隔で開くタイプの車のキーを3個くらい手に入れてん。ただどの車か分からんけど⋯⋯ま、職場の人間は専用のとこで停めとると思うし、そこまで行けばどうにかなるんちゃうかなって。ただアレとゾンビに見つからへんようにいくのバリキツそうやねんな｣
ぽけ、とした顔でルイは鬱を見ていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1663人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：臓臓臓 | 作成日時：2020年8月5日 10時
