星空サイダー【Alan】 (ページ49)

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夜、ご飯を食べて自分の部屋で机に向かって勉強をする。

ただここ最近新しいことが全然頭に入ってこない。

教科書を眺めているとお母さんが大声でわたしを呼ぶ。

母「Aー！亜嵐くん来てるわよ！出てあげなさい！」

亜嵐くん？今日はバイトだったはずじゃ

玄関の扉を開けると、笑顔の亜嵐くんの姿。

「ごめん、急に来ちゃって」

『ううん、どうしたの？今日バイトだったでしょ？』

「うん、終わったから来た。A元気なさそうだったから、コレ。うちのお店のケーキ。よかったら食べて」

『えっ、ありがとう……』

「よかった、笑ってくれた！俺、Aが心配で……翠さんに相談したらケーキでも持ってってあげたら？って言われたからバイト終わってすぐ来たんだよね」

亜嵐くん、それ、その話、聞きたくなかったよ。

『ごめん、せっかく持ってきてくれたけど受け取れない』

「えっ、」

『本当にごめん！でも食べられない。帰って。ごめんね』

何か言いたげな亜嵐くんを残して扉を閉めた。

母「Aー？もう終わったの？」

お母さんの声も無視して自分の部屋に戻る。

思い切り飛び込んだベッドの上でうつ伏せになりながらやっと冷静になって

ああ、あんなこと言って完全に嫌われたな

明日から亜嵐くんと顔合わせられないや、どうしよう。

亜嵐くんはなにひとつ悪くないのに。

こんなわたしといるより
翠さんといたほうが楽しいんじゃないのかな。

心が狭すぎてそんな自分が嫌いで、
枕を涙で濡らしながら意識を手放した。

*