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煙草の香り 【主人公side】 ページ8
｢ただいま｣
誰もいない部屋に響く自分の声
あの後直ぐに店を閉めて上にある部屋に戻った
バーテンダーの服を脱ぎタンクトップと下着姿でベットに寝転がる
横を向くと目に入るハンカチ
顔を近づけると香る煙草の匂い
｢あぁ、吸ってたもんなぁ｣
そう呟くと、まだ2回しか会ったことの無い
名前も知らないあの人を思い出す
｢大人っぽい、感じの人だったな｣
顔がタイプとかじゃなくて、雰囲気というか
話し方、お酒の飲み方、立ち振る舞い
すごく……
｢何言ってんだ……｣
ﾑｸﾘと立ち上がるとハンカチを取り外して洗濯をする
その傷に絆創膏を貼ると窓際にある写真に目を向けた
｢……ただいま｣
そう呟くと机に沢山の資料とパソコンを開いて作業を始めた
、
、
、
、
、
｢……ん｣
机に突っ伏したまま寝てしまったのか
起きた時には昼になっていた
｢やば……｣
身体を伸ばしながら立ち上がり
夜、薄れる意識の中干したハンカチが乾いているか確認する
良かった、乾いてる
取り込んで畳むとほのかに香る匂いに
柄にもなく、顔を埋めた
洗剤の香りとともに、心地よい煙草の香り
｢……大人っぽい｣
頬を緩ませると目の端に再びはいる写真
それを見ると唇を噛みハンカチをしまった
いけすかねぇ女 【次元side】→←ごちそうさん 【次元side】
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