蹴り 【主人公side】 ページ31
海から出て岸辺に上がる
｢ふぅ｣
まだ追いかけっこ中かなぁ
待ち合わせの人気の少ないビーチ
その場に座り込み
ゴーグルを外して海を眺めた
遠くの方ではICPOのヘリや船が囲んでいる
｢あれで捕まらないってすげぇな｣
改めてその凄さに感服した
男｢ねぇ、1人？｣
低い声に振り返ると3人組の男が後ろにいた
｢あら、知り合いだったかしら｣
男｢えー忘れちゃったの？｣
そう言って肩を組む男の後ろでクスクスと笑う2人
男｢お姉さん海潜ってたの？｣
男｢俺らと泳ごうよ｣
｢人を待ってるの｣
次元の蹴りを入れろという言葉を思い出したが
座っている状態からは困難だった
ちょい面倒くさくなってきたかも
男｢彼氏？｣
｢いえ、でもあなた達よりずっといい男よ｣
そういうと肩を組む男は突然浜辺に組み敷いた
男｢あんまり舐めんなよ｣
よし、この体制の方が入れやすい
けど大柄の男に力強く組み敷かれるのは
少なからずの恐怖感はあった
顔が近づいたら1発お見舞して……
と考えていると急に身体から重みが消えた
次元｢おい、何してやがる｣
身体を半分起こすといつの間にか伸びている3人
｢っ……｣
次元｢蹴り入れろって言っただろうが｣
｢油断したの｣
差し出される手を握り体を起こすと
背中に着いた砂を次元は丁寧に払った
次元｢…なんもされてねぇか｣
｢うん｣
次元｢そうか｣
｢いくぞ｣そういう次元をその場で引き止めた
｢あの… ありがとう……｣
呟くように言った言葉は、伝わっただろうか
近づく気配に顔を上げると視界が暗くなった
途端、微かに香る煙草の香りに被せられた帽子をずらす
次元｢そうやって素直になっておけば可愛いのにな｣
｢うるさ｣
足を軽く蹴りそういった
｢そういえば、どうやってあの大きい人吹っ飛ばしたの｣
次元｢蹴った｣
｢足は折れなかったかい！？｣
次元｢テメェの細い身体と一緒にすんじゃねぇ！｣
そう怒鳴った次元は思い出したように笑った
次元｢あぁ、背中と尻はいい肉ついてたぜ｣
｢なっ！ 大っ嫌い！！｣
今度は思いっきり蹴りを入れるのただった
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