飴 【次元side】 ページ19
その間に頭の中では本数を数えていた
朝起きて1本
飯食って1本
昼飯前に1本
食後に1本
昼過ぎに1本…いや2本
晩飯前に1本
その後1本
風呂前1本
風呂後1本
寝る前に……3本
よしこれで13本
吸っていた煙草を灰皿に押し付けると
奥から出てくるAに顔を向けた
次元「なぁ、じゅうさんほ……」
「ほ」と口を開けた時に口の中に入れられる
煙草のような感覚
だがすぐに甘い香りが広がり煙草ではないと気づく
「ほい、飴」
次元「……なんだこれ」
「煙草吸ってる人って口寂しいんでしょ?」
「だからソレ」
と言ってAも棒付きの飴を口に入れた
「しばらくそれで凌いでみたら?笑」
次元「甘すぎんだよ……」
氷を噛み砕くように飴を噛むと棒を灰皿に置いた
「はいじゃあこれ」
ドカンと机に乗せられた飴の袋に帽子がずれた
次元「どうしてこんなにあるんだよッ!」
「飴使ったカクテルかなんか作ろうと思ったけど無理だった」
次元「大方カクテルピンに刺さるチェリーをイメージしたが、酒に溶けないと気づいたんだろ」
「……」
次元「……図星か」
「嫌い」
横を向いて肩を落とすAに慌てて声をかけた
次元「悪かったよ、食うよ食う」
「あら良かった、まだまだあるからねっ」
勢いよく顔を上げ両手いっぱいにある飴の袋を出した
次元「てめぇハメやがったな!」
「なんのことかしら?」
口から飴を取り出してそれにわざとらしく口付けをしニヤニヤと笑った
その手から飴を奪い口の中に放り込んだ
「なっ……!」
顔を真っ赤にして口をパクパクするAにこちらが口角を上げた
次元「仕返しだ」
「ッ〜、」
そう言うとAは俺のグラスを取るとバーボンを注ぎ一気に飲み干した
「ハァッ、こんなもんじゃないくらい恥ずかしいわよっ」
次元「そんなに飲んで大丈夫かよ?」
「幸運なことに酒には強いの」
次元「にしては顔が赤けぇぞ」
「……参りました」
両手をあげるAを見て、また笑うのだった
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