好きでいてもいいですか part3

またお店で ページ28

岸「…最後に……あの…」



岸さんはなにか言いたげにしていたが、結局何も言わずに




岸「やっぱりいいです、なんでもない」





と言った。






直感だったけど、何故かわかった。







少し勢いをつけて岸さんに抱きつく。





「岸さんは、本当に大人ですね」



高い位置にある耳に目一杯顔を近づけて言った





岸さんの目が赤くなり、唇を噛み締める頬が少しこわばる






それでも笑って、





こう言った






岸「Aさんが子どもっぽいだけです」





岸「またお店に行きます、友達として、良き相談相手として。」





腰に回していた手が、ドラマのワンシーンのように離れていく。





振り向きざまに見えた雫を、忘れはしない






車とは逆の方向に向かう岸さんに頭を下げ、駆け出した






会いたい、ただその思いだけだった






どこにいるかもわからない人。





何をしてるかもわからない。








それでも、何故か忘れられない、あの人のところへ






、









、








、









岸「好きな人の、好きな人ね…」




座ったベンチで足を組む






さっき買ったばかりのものに火をつけ、口に含む








岸「…まっずい。」







好きな人の好きな人になるのは大変。




そう思いながらまだ多く残るそれを缶コーヒーの中に入れた。





ジュッっと鈍い音がして、そのあとに煙草の煙が上がった

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