【ヒカルの碁】弟なんかじゃいられない (ページ7)

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「A！一緒に帰ろ！」

放課後。
6時限目が終わり、皆が帰る支度を始める。
私も皆と同じように机にある教科書をまとめ鞄に入れていると、いつも一緒に下校している友人に誘われた。

「ごめん、私引っ越したから帰る方向反対側になっちゃったんだよね。たぶんこれから一緒に帰れなくなる」
「そうなの！？うーん、じゃあ仕方ないか。また今度時間がある時遊ぼうね！」
「うん、じゃあまた明日」
「また明日！バイバイ！」

そう言って一足先に支度を終えた友人が教室から出る。
私も支度を終え、残っている友人に手を振って教室を後にした。

行きはヒカルと共に来たため簡単にここへ辿り着いたが、まだ家までの道が曖昧だ。

少し歩いたところで地図を取り出そうとポケットに手を入れるが紙の感触がない。
反対側も探ってみるが地図は見当たらない。

(もしかして落とした…？)

入れた覚えはないが一応鞄の中も探るものの当然地図はない。
もう一度学校に戻ったとて簡単に地図が見つかる保証はない。しかしこのままでは帰れないどころか道に迷ってしまう可能性もある。

どうしようかと頭を抱えていると、今朝ヒカルとここを通ったことが頭に過ぎる。

(ここからヒカルくんの小学校の道はわかるし…迎えに行って一緒に帰れば…！)

良い案を思いついたと心の中で誇らしく思い、うんうんと大きく頭を縦に振った。
ヒカルとすれ違いでもしたら余計に面倒臭いことになる。そう思い駆け足で小学校へと向かった。

(着いた…！ヒカルくんは…見当たらないな)

駆け足でここまで来たため息があがる。呼吸を整えようと足を止め、門にもたれかかった。

すれ違う小学生からの視線がちくちくと刺さる。
小学校の前に中学の制服を着た私。あまりのアウェー感に恥ずかしくなり、ヒカルが早く来ますようにと心の中で強く願う。

「お姉さん中学生？」
「あ！葉瀬中の制服だ！」
「誰か待ってるのー？」

私に話しかけたのはヒカルではなく、小学三、四年生くらいの男の子三人組だった。

いきなり三人が同時に質問するものだからしどろもどろになってしまうものの、もしかしたら既にヒカルは学校を出ているかもしれないと思い、深呼吸をし三人に目線を合わせて答えた。

「うん、進藤ヒカルくんを待ってるんだけど…見てないかな？」
「進藤ヒカル？誰それ」
「知ってる！六年生の人だよ」
「お姉さんその人の何？」

「な、何って…」
何と聞かれてどう答えれば良いか分からず口ごもってしまった。