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朝。眩しいほどの光に包まれ目が覚める。
目を開けると見慣れない景色で一瞬戸惑ったが、すぐに昨日の記憶が蘇る。
身体を起こして伸びをすると、小鳥のさえずりが心地よく耳に届いた。

「いい匂い…」

ダイニングの方から香る朝食の匂いに、思わずお腹がぐぅと小さく鳴った。

「おはようございます」
「Aちゃん、おはよう。昨日はちゃんと寝れた?」
「はい!ぐっすりです」
「良かった。あ、もう朝食できてるから食べて食べて」
「でもヒカルくんは…」
「いいのよ、そのうち降りてくるから」
「じゃあ…いただきます」

手を合わせ、箸を持つ。
おばさんの作る朝食は、朝食が食パン一枚でマンネリ化していた私にとってはご馳走であり箸が進んだ。

少しして、階段をくだる音が聞こえた。きっとヒカルが起きたのだ。

「ふぁ…おはよ」
「ヒカルくん、おはよ」

予想通りヒカルは欠伸をし、目を擦りながらダイニングに入った。

まだ眠そうなヒカルと違い佐為はしっかり目が覚めていた。幽霊だから眠らなくても良いのか、佐為の目覚めが良いのか。

佐為を見つめ、おばさんに聞こえないように口パクで「おはよう」と挨拶をする。
すると彼もこちらを見つめ、「おはよう」とにっこり笑って返してくれた。


「行ってきます」
「行ってらっしゃい、ヒカル、Aちゃん」

気にせず背を向けるヒカルを横目に、会釈をして扉を閉める。

ヒカルは小学校、私は中学校へと別れ道まで一緒に向かう。

「やっぱり佐為も一緒に学校行くんだね」
「そーなの、こいつ俺のそばから離れねーんだもん。鬱陶しいったらありゃしない」
「鬱陶しいとはなんですか!社会のテストだって私の助けなしではヒカルは何も答えられないじゃないですか!」

佐為の反論にヒカルは「う…」っと言葉を詰まらせる。
昨日の夕飯にヒカルが言っていた社会の成績が良いという言葉は佐為のおかげなんだと気がつく。

クスクスと笑う私にヒカルは「お前も笑うなよ」と睨みつけた。
それが何だか可愛くて、「ごめんね」と言ってヒカルの頭を撫でた。ヒカルはそれで余計腹を立てたみたいだけれど。

「っと、俺はこっちの道だけど葉瀬中は反対側だよな。道わかる?」
「うん、ここら辺だったら。おばさんにも一応…ほら!地図も貰ってるし大丈夫」
「ふーん、じゃあ俺行くぞ」
「うんありがと、頑張ってね!」

通う中学校は変わらないのに何だか新鮮。
そんなことを考えながら、取り出した地図をポケットにしまって歩いた。

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作者名:ちゅぴ | 作成日時:2022年9月10日 2時

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