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春。私は高校生、ヒカルは中学生となった。

新しい制服に袖を通す。中学とは変わってブレザーになった制服。全てが新しく、これからの学校生活を思うと胸が高鳴った。

「行ってきます」

ヒカルと佐為と私。三人で登校することもこれから少なくなっていくのだろう。
ぶかぶかの学生服を身につけたヒカルに視線を落とす。制服のことを指摘すると彼は「これから成長するんだよ」とむくれてしまったを思い出す。

「ヒカルくん、部活何入るかもう決めた?」
「うん、俺囲碁部に入るよ」
「やっぱり」

予想通りの答えを自信満々に言う彼を見て思わずくすりと笑った。
「お前は?」という彼の問いに口を開こうとするが、桜の花びらがひらひらと舞う中女の子が道の端で一人立っていることに気がついて口を閉じた。

「あかりちゃん、おはよう」
「…あ!Aちゃん!それにヒカル!」
「何だよあかり、こんなとこで」

そうヒカルが聞くとあかりは「えっと…」と返答に困り、顔を赤くし俯いた。
その反応を見てきっとヒカルを待っていたのだと察するが、当の本人は気がついていない様子だった。

「あ!私この近くで友達と約束してるんだ!二人共学校楽しんでね!」
「あっ…Aちゃん!」

咄嗟の嘘で二人きりにしてあげようと試みるも、あかりにはそれがバレバレだったようで「もう…」と少し困った顔をさせてしまった。
佐為の方にも視線をやり手を振ると、彼もそれを返してくれた。

「Aおはよ!」
「朋子、おはよう」

学校に着くと中学からの同級生、朋子に声をかけられる。
高校でも同じクラスになり、中学の時よりもっと仲が深まったような気がする。

「朋子は部活もう決まった?」
「ううん…まだかな、Aはもう決まった?」
「私は…うん、決めた」
「え!そうなんだ、じゃあ私も同じ部に入ろうかなー」

そう言って朋子は私が持っている入部届けに視線を移す。
そしてそこに書かれている部の名前を読み上げた。


「ボードゲーム部へ入部ありがとう!」

私が選んだのはボードゲーム部。部員数は私と朋子を合わせてたったの五人。空いた部室を使って将棋や囲碁、チェスにポーカー等をして遊んだりと小さく活動している部だ。
私がこの部に決めたのは囲碁をしたいからだった。それは紛れもなくヒカルや佐為の影響だ。

「私囲碁したくて…入りました!よろしくお願いします」
「囲碁!?Aそんなのしてたんだ…あっ、よろしくお願いします!」

私たち二人が頭を下げると、先輩達は拍手で迎え入れてくれた。

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作者名:ちゅぴ | 作成日時:2022年9月10日 2時

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