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(ヒカルくん何やってんの…!)
創立祭当日。
ヒカルとあかりのことを密かに応援しながら屋台のクッキーを売っていると、こちらへ向かってくる複数の女子達に気がついた。
その中にあかりがいることに気がつき、ヒカルがあかりと共にいないことを察し青ざめた。
「Aちゃん!クッキー一つください」
「あかりちゃん、ヒカルくんは一緒じゃないの?」
「うん…昨日誘ったけど断られちゃったの」
あかりは周りの女の子達に聞こえないようにこっそり耳打ちして教えてくれた。
眉を下げて寂しそうに笑うあかりを見て何とも言えない気持ちになる。
(来てって言ったんだけどな…寝坊したのかな)
「じゃあ、はいこれ。一個サービス」
「わぁ…ありがとう!頑張ってね!」
「うん、あかりちゃんも楽しんで」
そう言ってクッキーを受け取った後あかりは手を振って友達の元へ戻って行った。
元気よくかけて行った彼女とは反対に、私はヒカルがあかりといないことが気がかりで少しの間考え込んでしまう。
(多分来てると思うんだけどな…ヒカルくんお金ないだろうし店番終わったらクッキー持って行ってあげよう)
店番が終わり、ヒカルを探しにクッキーを持って校内を駆け足でまわる。
生徒だけでなく外来のお客さんも多くいるこの中でヒカルを見つけるのは難しい。そう思い一度足を止める。
やっている屋台を次々と頭に浮かべヒカルが行きそうな場所を考えていると、囲碁の屋台が小さく開かれていたのを思い出した。
ヒカルや佐為の影響で、少し私も気になっていたのだ。
(佐為さんが見つけたら絶対行きたいって騒ぐだろうし…たぶんそこだよね)
予想は的中し、その屋台には丁度ヒカルに似た後ろ姿の男の子と何より目立つ佐為がいた。
(そういえば佐為さんの格好だったら目立つしすぐわかったんじゃ…)
彼らに近づこうとした時、あかりの声が聞こえて足を止めた。声の方へ振り返るとその声の主はやはりあかりで、先程の友達とたこ焼きを食べながら歩いていた。
あかりがヒカルと創立祭をまわるのは今からでも遅くないかもしれないと、あかりの方へ駆け出した。
「何してんの?碁?またァ!?」
「あ、でももう終局した?」
あかりを連れてヒカルの元へ行くと、もうヒカル達は打ち終わっていたみたいで手を膝に置いていた。
誰と対局したのだろうと思い覗いてみると、その相手は悪い意味で学校で有名な加賀鉄男だった。
彼とは彼が生活指導の先生に追いかけられているところを何度か匿ったため面識がある。…匿ったのは加賀の圧に負けたからなのだけれど。
不良である彼に負けてヒカルが何かされるのではないかと思いさり気なくヒカルの前に立った。
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作者名:ちゅぴ | 作成日時:2022年9月10日 2時