千年の恋〜夢と知りせば覚めざらましを〜

岩本side ページ24

今朝早くに玄関の扉が開く音が聞こえ

縁側に出て玄関の方を見ると、

目黒や向井が慌てた様子で外に飛び出して行った



岩本：なんだ？



こんな朝早くから…ましてやあいつらには帰る場所も無いはずなのに一体どこへ

そう思い、考え込んでいた時



？？：やっぱり人間って変わってるよな



頭上から声が聞こえてくる



岩本：いたのか


渡辺：ああ、今朝は目覚めがよくてさ


岩本：そうか


渡辺：馬鹿だよな。人間はいつか死ぬ…どれだけ大切に思ったってその事実は変わらねーのに、残されるって分かってても…そばに居たいと思う


岩本：…



翔太はまるで自分の事のように話し出す



渡辺：Aとあの人間の事、照はどうせ反対なんだろ？


岩本：…ああ、俺らは人間とは一緒になれない


渡辺：なら、人間なんかに目がいかないようにお前が何とかしてやれよ。Aのこと想うならさ…？笑


岩本：っ?!


渡辺：悪いが、俺はお前らと違って人間を嫌いだとは思ってない…。いずれいなくなると分かっているからこそ、今を大切にしようって思える


岩本：…傷つくかもしれないのにか。


渡辺：だったら、お前は想いが通じないからって…好きでいるその気持ち…無かったことに出来んのかよ



その時翔太が俺の顔を見て、クスッと笑った



渡辺：お前って口数少ないけど、
意外と分かりやすいよな笑


岩本：はっ？！//


宮舘：あ、翔太！ここに居たのか。
ちょっと手伝ってくれ


渡辺：おう


岩本：…っ



舘さんに呼ばれて屋根から軽く地面に降りる翔太

その翔太が片手をヒラヒラと揺らして去っていく



渡辺：少なくとも俺はどれだけ別れが辛くても、今そばに居たいと思う奴の元で生きていくことを選ぶよ



翔太の言いたい事もわかる

でも…。

それでもやっぱり

Aには普通の恋をして欲しい


俺とじゃなくてもいい


人間じゃない…
Aとずっと一緒にいてくれるような存在と



佐久間：あーーー！照が珍しく寝坊してるーーー！



縁側に立ち空を見上げながら

考え込んでいた時、、
大きな声で佐久間が俺を覗き込む



ラウール：珍しいね笑


岩本：うるせーよ


ラウール：あれ、Aは…？


阿部：巨大樹に行ったんじゃないかな…笑


ラウール：…そう



阿部のその言葉に少し伏し目がちになるラウール

その視線が次にとらえたのはあの大きな樹だった




俺たちはみんな不器用で


自分の気持ちに気づいているのに


それを伝えるすべを知らない


だから、

こんなやり方でしか愛してやれないんだ

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