郭の夜に咲いた花 ｛完｝

渡辺side ページ40

真夜中

俺と涼太が会計の整理をしていた時だった

ガタンッ！



？？：誰かいねぇーか！
吉原公安法度5ヶ条を破った罪で、この女の身柄は御敷屋が捉えた！殺して欲しくなきゃすぐ出てこい！



荒々しい声

この声は…？！



渡辺：？！


宮舘：翔太！この声っ



急いで出て行くと抱き抱えられたAと

御敷屋の役人が血に濡れた着物を着て立っていた



岩本：御敷屋?!…A？！


ラウール：Aさん！！


渡辺：A！


宮舘：…っ


向井：？！…法度の5箇条って


御敷屋：男との密会に…及び足抜け。
これは吉原では立派な重罪だ。本来なら死罪だが…さすがに花魁を殺したともなれば俺らの評判も悪くなる


岩本：…要求はなんだ



その言葉を聞いて不気味に笑った役人は
多額の金を要求した

さもなくばAを殺す…そう俺たちを脅して



渡辺：…くそっ


A：…



意識がないA

着物には血が着いているものの

A本人には怪我は無い様子だった



男との密会…足抜け

恐らく、その相手の男は…



岩本：…これだけあれば足りるだろ。
とっととその汚ねぇ手をうちの花魁からどかせ



それから照はやむをおえず、
そいつらの言われるがままに金を渡した



御敷屋の頭：まいど


御敷屋：さすが郭一の市店、金もってんねぇ〜笑


渡辺：…うせろ


御敷屋の頭：おいおい、そんな怒るなって。
俺らが見つけなきゃその女。今頃男と足抜けしてたんだぜ？もーちょい感謝してくれてもいいだろうよ笑


渡辺：あ…？花魁の命と引替えに金要求しといて何言ってんだよ！


宮舘：翔太っ、



殴りかかろうとする俺を涼太が必死に止める

だから…

だから言ったんだ

こうなるのが嫌だったから…。


どうせ目を覚ませばAはまた、

あいつを思って泣くんだろう


そうなって欲しくなかったから、俺は…。


御敷屋のふたりが出ていく時

不意に照が口を開く



岩本：相手の男は…誰だ


御敷屋：あ〜、ここら辺じゃ見ない顔だったな。
まあでも、ただの若造だ。


御敷屋の頭：罪人届けが受理され次第死罪にするつもりだから、そこら辺は安心してくれていいぜ


岩本：…そうか



死罪

それは今回に限ったことじゃない

本来ならAだって…



ラウール：照くんっ！Aすごく冷たい！


宮舘：…部屋で安静にさせよう


岩本：…運べ


渡辺：あぁ、



その小さな体を抱き上げると

濡れた瞼と涙のあとが、


…もういいだろ


頼むから

幸せになる道を選んで欲しい



渡辺：…A、

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