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智洋に悪影響だから！と過度なスキンシップ禁止の条件が追加されて何度も違反しそうになりつつ、なんとか試用期間を経て本採用。はやいとこ家政夫からつぎのステップに昇格するために早起きして淳太くんに愛情たっぷりの手作り弁当をつくってありがとうの代わりにめろにゃんな可愛い笑顔でハグしてもらう──なんて幻想を抱いたことがぼくにもありました。だけどそれは叶いませんでした。
「のんちゃん、智洋、はよ起きや」
なぜなら朝が超がつくほど苦手だから。お弁当をつくってから朝ごはんをつくってあげたいけど、ともくんのぽかぽかなこども体温とお布団が俺を離そうとしないんだもん。仕方ない。
「仕方なくないから」
「……はーい」
朝はてんでダメだけど、淳太くんを仕事に、ともくんを保育園に送り出してからの専業主夫っぷりは目を見張るもので朝寝坊を帳消しにできるレベル。これまで新しい場所での仕事、慣れない家事育児に追われて精神的にも身体的にもやられていた淳太くんの痩せこけてたほっぺたや身体は健康的な肉付きになり、表情も豊かになってより俺好みに──少しでも淳太くんのためになっていればいいんだけど。
「お世話になってます！中間智洋の保護者です！」
「智洋くん、望おにいちゃんが迎えにきたよ〜」
「ともくんぎゅう〜！」
「わお！熱烈なお出迎えうらやましいわぁ！」
「はまだ先生もいりますか？」
「ははは、遠慮しときまーす」
ともくんの担任のはまだ先生に��いつもどこか寂しそうだった智洋くんと元気のないパパを心配してたんですが…小瀧さんのおかげですね��と言われてともくんと手を繋ぎながらスキップで帰ってきた。
『おーい淳太ぁ！居るかぁ！？』
──それは突然訪れた。
夕方のテレビタイム中、インターフォンが鳴ったと思ったらすぐさま治安の悪い呼び掛けにまったりとした空気が凍てつく。乱暴にノブを捻る音が恐怖心を駆り立てられ、鍵穴に鍵が差し込まれる音で背中に嫌な汗が流れる。
「奥の部屋行こか…俺から離れたらあかんで…」
鍵が開いてゆっくりとドアノブが回る。
「なぁー最近とものお迎え頼まれてへんけど仕事順調なん──…あ？誰やおまえ？」
「そちらさんこそ…」
「こっちが聞いてんねん。ともから離れろ。」
「無理で…あっ、」
「しげぇ！」
俺のうしろからひょいっと飛び出したともくんはあろうことか男に飛びつき、抱きあげられるとうれしそうに笑っている。
「えっ、誰！？」
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作者名：26 | 作成日時：2022年10月21日 0時
