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本社勤務の頃だったら人事に頼んでどこかの支社に入れてあげることもできたけど、勘当された俺にそんな権限はなくて絞りだしたのは実弟の家政夫。だったんだけどこのヒモ男。
「え〜〜〜せっかくなら淳太くんがいい」
「は？」
「この家の感じからして淳太くんって家事できないタイプのひとでしょ。それが働きながらひとりで育児と家事をこなそうなんて無理…だから倒れんねん」
「……」
「ともくんを守りたいなら淳太くんは健康でおらな」
この日は智洋が小瀧の服を掴んで離さないから、そのまま泊まってもらい──ひとり残されたリビングで引っ越してから１ヶ月が経つのに積まれたままの段ボールを見詰めて考えを巡らす。
「うちに住んでええで」
「え！やった！」
「でも…！でも…いくつか条件がある。」
昨晩考えて考えて考えたけど答えはでないままソファで寝落ちして、今朝ふたりを起こしに寝室にいったらすぅすぅ寝息をたてながら気持ちよさそうにくっついて眠っているふたりの寝顔をみたら結論がでた。
「智洋が懐いてるし小瀧くんが悪いひとやないことはなんとなくわかるけど、それでも100%信用することはむずかしいから…まずは５日間、試用期間として小瀧くんを見させてもらってひとつでも気になる点があったらこの話は白紙に戻させてもらう…そのあとも何かあったらすぐに出ていってもらうので」
「…うん、せやな」
「それからお金については月曜日に決まった金額を渡そうと思うから食費はそこから出してもらって、何か支払いがある時は請求してくれれば払うので…で、小瀧くんの給料なんやけど住み込みの相場がわからなくて…ちなみにいくらほしい？」
「いらへん、欲しいものあったら淳太くんに言うし」
「……そこは追々決めてこうか」
報連相の徹底、俺の知らない他人を勝手に家にあげない、禁煙、うちに住むことをご両親に伝える、小瀧くん自身の時間を犠牲にしないこと。
「小瀧くんはかっこいいから彼女ができたり、その…あたらしい飼い主さんが見つかるかもしれないけど…その時は気にせず出ていってくれて大丈夫やから」
「そこは大丈夫。俺の好きなひと淳太くんなんで！」
「うん？」
「あー！ともくん完食やん。お着替えしよか〜！」
「ちょお待て…！」
智洋を着替えさせて登園準備万端でもどってきた小瀧は固まる俺の耳元で「淳太♡」と囁いて不敵に笑う。ゾゾゾッと全身が粟立つ。
「わっ！アホ！じょ、条件追加や！！」
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作者名：26 | 作成日時：2022年10月21日 0時
