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 淳太とご両親の関係を修復したい──なんてものは淳太の不安で震える手をみたらただの俺のエゴかもしれないけど、実際にお義父さんにお会いしたら不器用で頑固なところがそっくりで「はよ仲直りしたらええのにね」と思ってしまったから。


「転職することにきめたよ」

「そっか…」

「やっぱ応援はできない?」

「…あのひとのんちゃんのことお飾り人形にするかも」

「うん、それでも負けないよ。俺のこと信じらへん?」

「……しんじてる…」

我ながらこすいと思う。泣かしてもうたし。
でも──最初こそ目を合わせようとせず、お義母さんに話しかけられてもぎこちなくぶっきらぼうな返答をしていたふたりだけど、ともくんがお義父さんに近づくと能面だったお義父さんの表情がぱっと明るくやさしく綻んだ。

「……おとん…」


 お義父さんと淳太が親子水入らずで酒を交わしているところに恐れ多くも呼ばれて途中参加──ふたりが何を話していたかわからないけれどいい時間を過ごせていたのは、ふたりの表情を見ればわかる。

「望くん、来週から頼むよ」

「ここここちらこそよろしくお願いします!」

「俺は身内だからといって容赦しないからな」

「へ、はい、はい、そのつもりです…!」

「まだ入社前なのにビビらせんといて、可哀想に」

淳太とお義父さんが笑ってて、その様子をみてお義母さんがうれしそうに泣くから俺まで釣られちゃって──無理やりにでも連れてきて正解やった。ほんまよかった。



「のんちゃん、ありがとうね」

「んーん、でもまあ仲直りできてよかった」

「ちゃう。いや、それもそうやけど……俺と出会って俺のこと好きになってくれて結婚してくれてありがとう、俺と智洋がしあわせな日々を送れてるのは間違いなくのんちゃんのおかげやから」

「ほな、俺のわがまま聞いてくれる?」

これまでは甘やかすだけだったともくんを叱れるようになって周りからより父親らしくなったと言われるし、転職して給料が格段にアップして余裕がでてくるわけで、そろそろ、ね。





「今日はともくんに大事なお話があります」

「なあに?」

「家族が増えてともくんはお兄ちゃんになります!」

「えっ」

「とも、今日からなかよくしてあげてな」

淳太がだっこして連れてきた新しい家族。

「わんちゃんだ!」

「そう、ともくん飼いたい言うてたやろ?」

「ともがお名前つけてええで」

「えっとねぇ、──!!」


END

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作者名:26 | 作成日時:2022年10月21日 0時

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