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 小瀧が淳太を外に連れ出してから2時間経過──ともと長風呂してアイス食べて、いつもは30分と決められているテレビゲームをはじめてもうすぐ1時間。大好きなゲームをたくさんできてともは嬉しそうだけど。

「なぁー、なんで兄弟は結婚できないんやろな」

「う?」

「ほんまに大好きで愛してるのに、たまたま兄弟やっただけで、俺は一生淳太の恋人にはなれないし結婚することも叶わないってなんなん、権利さえないっておかしない?」



 不器用だけど誰にでも優しくて、かっこよくて可愛い兄のことが物心ついた頃から好きで大きくなったら結婚するものだと信じてやまなかったから兄弟は結婚できないことを知った時はほんまにショックで熱出たもんな。

『だからやめとけ言うたやろ』

『だって…』

『わかったから、もう、涙と鼻水拭けって』

『ティッシュどこ〜〜〜』

『手のかかる兄貴やなぁ』

淳太に彼女ができるたび、俺が彼女の悪口言うてケンカになって別れたら内心はオトンようやったと大喜びで傷心中の淳太を慰めた。結婚した時も、離婚した時も。


「──もし俺が弟やなかったらチャンスあった?」

「しげ…げーむは…?」

「ぁあ、ごめんごめん。リトライや!」


突然現れた元ヒモの小瀧。まーたろくでもないもの拾って来て…と思ったけど根は真面目な好青年で、凝り固まった淳太の心を溶かして、あのおとんまで味方につけて、正直敵わないって思った。悔しいけど。許せないけど。

「いや、やっぱ許せへん!とも!外行くで!」

まだゲームしたいってぶすくれるともを説得しているうちにガチャッと玄関のドアが開いて、すっきりした顔の淳太と小瀧が帰ってきた。

「ともー、もうゲームおしまいにしてねんねするで」

「パパだっこ」

ともの歯磨きをするために淳太とともがリビングから出ていくとすぐ小瀧がきて「ありがとうございました」と深々と頭を下げた。

「帰ってくるの随分遅かったけど何してた?」

「えー、なんやろ、話し込んでもうたんよー」

「おい」

そんな嘘が通じると思うなよ。淳太の表情だったり、帰ってきてから俺と顔を合わせないよそよそしさを見ればおまえらが何してたかなんて一目瞭然やねん、こら。

「知らんままのほうがしげのためかなって♡」

「〜〜〜やっぱ許せん!いますぐ別れろ!」

「やだ♡」

くっそ。こうなったら一生邪魔しつづけてやる。

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作者名:26 | 作成日時:2022年10月21日 0時

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