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のんちゃんが結婚したいと言い出してくるのは時間の問題だと思っていたけど予想より早かった。男同士だし、再婚なんてせんでも３人でなかよく一緒に暮らしていければええんちゃうか？と俺は思うけどのんちゃんは納得いかへんやろうし、条件を出してみた。
「ほいじゃ、行ってきます」
「ん、気をつけて。ともくん、のんちゃん行くって」
「いってらしゃあ」
「はーい、行ってきまーす」
最近ランチをはじめた流星クンのお店でバイトを再開したのんちゃんの片手には就活記念にプレゼントしたリクルートスーツ。ブランド物あげようとしたらこんなクソ高いスーツで面接きたら鼻につくやろ！と怒られたけど内定決まったら絶対買うたるねん。
「淳太くんも望と結婚したいんやな」
「…え？」
「だって一見厳しい条件かもしれへんけど、うえで働いてた淳太くんなら望がすぐに就職できるってわかってるやろ？」
空白の期間があるとはいえ、まだ若いし、清潔感と好感度抜群のルックスにのんちゃんが持ってるカリスマ性は企業からしたらとても興味深い。
「そう…なんかもしれへんな…」
「ほんま素直やないなぁ〜…ちなみに俺はいつだって淳太くんが選んだ道を応援するだけやから。望がええヤツなのはよう知ってるし…ま、しげはゴネるやろうけど」
「俺ものんちゃん最大の敵はしげやと思うわ」
「ったく兄弟そろって素直やないんやから〜」
秘書の仕事が忙しいだろうに声を掛ければ合い間をぬって会いにきてくれるのは、元々は俺の秘書になるために大学で秘書科まで進んだ名残りか、それともただの幼馴染み・友達としてか、はたまたどらちもか。
「大丈夫。望なら裏切らんと思うで、安心し？」
なんにせよ、俺でも気付いてない俺の本音にいち早く気付いて背中を押してくれる。照史に大丈夫だって言われるとほんまに大丈夫な気がしてくるから不思議。
「最近登園もお迎えもパパでともくん嬉しいね！」
「のんちゃんしゅうかちゅちゅうやから」
「就活…おぉー弟さん就活中なんですね」
「え…あ、まあ…はい」
「せえしゃいんなったらぱぱとけっこ、」
「けっこ…結婚…え！？」
「とも！はよ帰ろ！ありがとうございましたー！」
バイトと就活で忙しいのんちゃんに代わり、出勤時に保育園に送りとどけて延長保育を申請して俺が迎えにいくことが増えた──するとはまだ先生とおしゃべりができるようになった弊害が。おしゃべりをつづける智洋をだきあげて一目散に自宅へ。
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作者名：26 | 作成日時：2022年10月21日 0時
