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明らかに距離が縮まったふたりの間にどんなやりとりがあったのか、無断欠勤をしていた俺にはわからないけどきっといい時間を過ごせたんだと思う。
「のんちゃん。今日はほんまにありがとう。のんちゃんが智洋と向き合う時間をくれたおかげでやっと父親になれた気がする…いうてまだ半人前やけどな」
「俺は何もしてへんよ。それに淳太くんはともくんの自慢のパパなんやから自信もって…ていうか、智洋っていうたらともくんに怒られるで」
ただひとつだけ、ともくんが淳太くんにしたはじめてのわがままが「パパもともくんって呼んで」だったことはデレデレした顔の淳太くんがおしえてくれた。
「……俺も淳太♡って呼ぼうかな」
「俺は別にええで」
「えっ」
「あ、ハートはつけんといてな？」
今日は機嫌がいいねん、お願いごとするなら今やで！とごきげんな淳太くんは晩酌が進むこと。まあ明日は日曜日やからいいけど、二日酔いとか大丈夫やろか。
「そろそろお仕舞いにして寝ようや」
「ん…せやな…明日はともと公園行くねん」
「淳太」
「へっ」
「淳太くんが呼び捨てしてええって言うたんやろ」
「や…言うたけども…お手洗い行ってきます……」
照れちゃって可愛い。ちょっとずつ淳太くんのなかで俺の存在が大きくなってたら嬉しいんやけど──数日後、ともくんのお迎えで事件は起きた。
「俺が淳太の弟ってどういうことやねん！」
「なにそれ。何の話？」
「はまだ先生に小瀧さんってともひろくんパパの弟さんだったんですね〜って言われた」
「ああ…」
バツが悪そうな淳太を問い詰めると、先日淳太がひさしぶりにお迎えに行った時のことを話しはじめた。
『最近ともひろくんがたくさんお話をしてくれるようになって、おうちでわんわんを飼いはじめたと教えてくれました』
『わんわん…？』
『はい。あ、そういえばいつもお迎えにきてくださっている小瀧さんとはどういうご関係で…というのも保護者として登録していただければご兄弟の重岡さんみたいに毎朝連絡ナシで小瀧さんに引き渡しができるので…あの、けっして中間さんのプライベートを知りたいとかそういうのでは…』
『そうなんですね』
それで咄嗟に弟と答えた、と。この際ともくんの気になる発言は一旦置いといて──中間、重岡、小瀧と３つの名字にはまだ先生も戸惑ったみたいだけど、複雑な事情を抱えている家庭もあるし深入りは御法度ということで承認されたらしい。
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作者名：26 | 作成日時：2022年10月21日 0時
