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「ちなみにお前は留守番」

「意地悪せんの。のんちゃんの分は俺が出すから」

「それは悪いから…」

 好きなひとにお金出させるなんて男としてプライドも許さないし断ろうとしたけど、ともくんに悲しい顔をさせてしまって「智洋のために来てよ」と言われて頷くしかなく──結局優待券は5名まで招待可能で弟さんは淳太くんにしばかれてた。

それが4日前。そして水族館にいく前日。

「智洋っ!?」

「淳太くーん?ともくんがどうかした?」

「あの、朝ごはん、も、もどしちゃって…その…」

「なるほど…とりあえず淳太くんは落ち着いて!」

「ごめん…」

いつか来るだろうと思っていた子どもの体調不良。慌てて何もできないんじゃないかって思ってたけど自分以上にわたわたしてるひとがいると存外冷静になれるもので──ぐったりしたともくんのおでこに触れるとそれだけで発熱しているのがわかる。

「やっぱ俺も病院に…」

「そない大事ちゃうと思うし、何かわかればすぐ連絡するから淳太くんは仕事行って!ほら、行った!」

うしろ髪を引かれまくりの淳太くんの背中を無理やり押して仕事に向かわせた。ともくんはこっちに来てから病院にかかったことがないらしく、ともくんをだっこしたまま徒歩で行ける小児科を調べた。

「いま、しんさつおわりました、あでの、ういるすだそうです、くすりは──すいぞくかんは──よし、送信完了」

病院で高熱が数日つづいて風邪・嘔吐・下痢の症状は出るけど本人は比較的元気で動くからこまめに水分補給をさせるように言われた。

「ともくん、おうどんとおじや、どっちする?」

「ん」

「おうどんな。テレビみていいこにしててね!」

病院から帰ってきてお昼過ぎまでは微熱ながらテレビを観たり、ゲームをして、保育園行けたんちゃう?と思っけど夕方にまた発熱してしまい、そこからは起きる気力もないのかお布団でごろごろ。

「ん、おやすみ」

ともくんが寝たのを見計らって、停滞していた家のことをちゃっちゃっと進める。換気がてら洗濯物を取り込んで、晩ごはんのメニューを考えながら畳む。

「うあああん」

「ともくー…あ、げえでたんか。大丈夫よー?」

「っん、っん」

「シーツ替えてくるからごはんのおいす座るよ」

「……」

「ん?嫌?…ふふ、かわいい。ほなだっこしよ」

かわいいけど3歳児をだっこしながらシーツをひっぺがえして洗濯機に放り込んで、新しいシーツをセットするのしんどい!

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作者名:26 | 作成日時:2022年10月21日 0時

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