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黄「流星、ちょっといい？」
夕食後、風呂からあがるなりめずらしくテレビもつけずにソファではなく食卓に腰掛けていた淳子から向かいに座るよう促された。俺が着席するのを見届けた淳子がふーっと深く長い息をひとつ吐いた。
黄「病院行ってきたよ。連絡入れへんとごめんね」
もうひとつ息を吐く。リビングを埋め尽くす得体の知れぬ緊張感に思わず固唾を飲んでつぎの言葉を待つ。
黄「わたしが行ってきたクリニックはここね」
青「鈴木レディースクリニック……へっ？」
黄「わたし妊娠してるの……流星の子」
青「……え、ちょお待って……ええっ！？」
黄「ほら。まだよく見えへんけど」
ダイニングテーブルのうえに母子手帳と一緒に差し出されたエコー写真には小さな袋があって、その袋のなかに肉眼でギリギリ確認できるくらい小さいけれどたしかに赤ちゃんがいた。
青「……こんなんあかんわ…ずるいってぇ…！」
黄「えっ！ちょっと泣きすぎ！！」
帰国して２週間後、生理が遅れていることに気づいてこの体調不良はもしかして…と思って産婦人科を受診。現在は妊娠５週目だとすっきりとした笑顔で話してくれたから、俺も不安だったことを話した。
黄「浮気疑われたってこと？ 心外やわぁ〜！」
なんて、わざとらしくほっぺたを膨らませて睨みをきかすけど耐えきれずに笑う。ああ〜抱きしめたいと思った時には席を立って向かいの席に座る淳子のもとへ身体が動いていた。
青「お腹触ってええ？」
黄「もちろん」
青「……うわぁ、なんもわからん！」
黄「せやろね、わたしもわからんもん」
青「抱きしめてもいい？」
黄「なんでいちいち聞くんよ。お好きにどーぞ！」
お腹に赤ちゃんがいると思ったら抱きしめるのも緊張してしまって腰が引けてるってけらけら笑われた。しゃーないやん、いつも力加減すんの下手くそって言われてきたから精一杯気遣っとんねんこっちは！
青「つぎの検診一緒に行きたい」
黄「仕事休まへんならええよ」
青「よっしゃ。ていうか妊娠初期ってホルモンの関係で体調崩しやすいんやろ、なんかあったら我慢せんとすぐ言うてな。あと風邪も引きやすくなるからひとの多いとこは避けて…あ、通勤どうする？車にする？」
黄「…なになに、めっちゃ詳しいやん」
青「淳子が風呂入ってる間に調べた！」
これは言うたら絶対「気が早い！」って言われるから黙っとくけど居ても立っても居られなくてベビー用品までいろいろチェックしてもうた。
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作者名：26 | 作成日時：2022年4月26日 12時
