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11月末から12月あたまにかけての新婚旅行。行き先はせっかくなら暖かいところがいいとなってたけど行ったことないヨーロッパ一周も案にあがってきてギリギリまで悩んだ結果、水着姿が拝みたくてうまいことプレゼンしてニューカレドニアになった。
青「熱は？」
黄「ん〜〜〜〜…」
青「…変わらずか」
スパリゾートに宿泊してビーチだけでなく部屋に備えつけのプールもたのしみ、ショッピングや観光を満喫して大満足の新婚旅行から帰国して数週間。ここのところ微熱がつづいてる淳子は抱えたクッションに頭をのせてソファで丸まっていた。
青「心配や…やっぱり俺もついてく！」
黄「あかんよ、ただ病院行くだけやねんから。ね？」
青「……んー…何かわかったらすぐ連絡してな！？」
黄「はいはい。はやく仕事いってくださいー！」
師走というだけで忙しいのに月末月初と新婚旅行のためにまとまった休みをもらってしまった俺が気軽に仕事を休めるわけもなく、淳子にもぐいぐい背中を押されて家を追い出されてしまい…しゃあなしで会社にやってきた。
緑「おーい流星〜顔やばいで」
青「…淳子から連絡来ぇへん」
緑「時期が時期やから病院も混んでるんちゃう？」
青「だったらええねんけど…」
緑「なに、何か引っ掛かってることでもあんの？」
青「……」
緑「嘘吐かれへんひとなんやからさ、流星の杞憂やと思うけどね。そんなんですれ違ってケンカしても損やから気になることがあるならふたりでよく話しや？」
そう諭すように告げて食後のパフェにハートを飛ばしながら舌鼓を打つ神ちゃんの言うとおり淳子は嘘を吐けない正直者。だからこそ隠し事をしようものならすぐにわかってしまう。そんなとこも愛おしいけど。
──淳子は何かを隠している。
結局午後になっても淳子から連絡がくることはなく、すれ違う友人たちには「ひどい顔」だと笑われ、いまいち仕事に身が入らないまま退勤を迎えた。
黄「おかえり〜！お疲れさま！」
青「……」
黄「流星ぇ…？寒いからなか入ろ…？」
青「……おん」
いつも通り玄関にやってきてにこにこ出迎えてくれた淳子に靴も脱がずに抱きつくと、子どもをあやすみたいにぽんぽんとやさしく頭をなでられてぎゅうと抱きしめてから身体を離して困ったようにほほえむ淳子が顔を覗き込んできた。
黄「ごはん出来てるよ。冷めちゃう！」
青「……敵わへんわ」
リビングまでの短い廊下、先を行く小さな背中に呟いた。
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作者名：26 | 作成日時：2022年4月26日 12時
