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「藤井さん4番内線です」
受付からの連絡に内心ウキウキで受話器を取ると通話相手は淳子ではなく小瀧だった。小瀧が淡々と告げる訪問者の社名と個人名に聞き覚えがないし、そもそも今日は来客の予定はなく疑問符を浮かべていると最後に「10番です、よろしくお願いします」のひとことが添えられて電話は切られた。
青「すみません、下行ってきます」
10番──問題発生。大急ぎで受付まで降りていくと頭を深々と下げている淳子に激昂した訪問者が怒鳴り散らかしていて、辺りは騒然としていた。
青「お待たせ致しました、○○様。明日15時の予定でしたけどお時間に空きができたからいらして下さったんですか…あ、会議終わって担当者と部屋の準備が整いましたので6階応接室Aへお願い致します。小瀧さん、EVホールまでご案内お願いします。」
ぶつくさ文句を言いながら小瀧のあとについてEVホールへ向かっていく訪問者に頭を下げ、横目でEVに乗り込んだのを確認してから頭をあげて盛大なため息。
黄「……ありがとう…流星は関係ないお客さまなのにわざわざ来てくれて。のんちゃんもありがと!」
青「そんなんええよ。災難やったなぁ」
桃「淳子さんこそ大丈夫?」
黄「大丈夫!こんなん慣れっこやから…あ、ちょっと田中さんの様子見てくるね!」
聞くところによれば日程を勘違いしてやってきた訪問者の対応をしていたのは新人で、間違いを指摘した途端キレられて泣きだしてしまった新人に代わって淳子が怒り心頭の訪問者に頭を下げていたらしい。
まだほんのり赤い目でもどってきた田中さんが小瀧と俺にまで頭を下げて、淳子はメイクを直したらすぐにもどってくるんだとか…あまりにも嘘が下手くそすぎて全員で笑ってしまう。
青「メイク直しは終わりましたでしょうか?」
黄「……流星」
青「おいで。」
黄「ん〜〜〜〜超ムカついた!あのハゲ親父!」
非常階段で風にあたっていた淳子に両腕をひろげると俺の胸に飛び込んできた淳子からでるわでるわ、さっきの客から別の客の愚痴までいろいろと。それだけ笑顔のうらに隠してるものがあるってことやな。
黄「さらっと解決する流星もかっよくてムカついた」
青「なんでやねん」
黄「なんでそんな無駄にかっこいいの?むかつく!」
青「無駄ってなんやねん、意味わからんわぁ〜」
すっきりした笑顔で見上げてくる淳子が可愛くてキスしようと思ったら「メイク落ちるからやめて」と断ってもどっていきました。
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作者名:26 | 作成日時:2022年4月26日 12時