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　大毅さんも年少になりまして、保育園のお友達から引っ掻かれたとか噛まれたとか、ちょっと下品な言動を覚えてきたり。すくすくわんぱく坊主に成長中──たまにはこんな日があってもいいと思い、16時に退勤して淳子とふたりで保育園のお迎えにやってきた。どんなリアクションをしてくれるのか、わくわくして待っていたら担任の先生に連れられた大毅は真っ赤なおめめから大粒の涙をぽろぽろこぼしていて脇目も振らず淳子に抱きついた。

黄「だいちゃんどうしたの？」

先「すみません…じつはだいきくん──」

淳子の脚に抱きついたまま動かない大毅をだっこして帰ってきて、家についてからも泣き止んだと思ったらぽろっと涙が落ちて静かに泣くを繰り返している。

黄「……はぁ」

青「ん？」

黄「何でよりによってふたりでお迎え行った日に…」

青「え？」

黄「先生めちゃくちゃにやにやしとったもーん！！」

保育園の先生から聞いた話によると、外遊びの時間にかくれんぼをしていて大毅はおなじクラスの女の子と一緒に遊具のなかに隠れていた。それがまたおませな子で年少さんにして大毅が片想いをしているとかなんとかでほっぺたにちゅっと…そこで大毅さんまさかの大号泣。それからずっとこの調子。

ほんまに泣きたいのは女の子のほうやで！というのはひとまず置いといて、先生に泣いている理由を聞かれた大毅は「ちゅうされたからママと結婚できひん」と答えたらしい。ここまではよかった、ここまではキス＝結婚という子どもの可愛らしい勘違い。

赤『りゅーせいつもままにちゅうしてんねん』

先『そ、そっか、パパとママなかよしなんだねえ』

そんな暴露があったなんて露知らず、タイミングよく夫婦そろってお迎えにいってしまい、淳子は先生の生暖かい目線が忘れないと…俺的には相手が入園当時からお世話になっている若僧の先生だったからまぁいいかな、と思ってたんやけど。

黄「しばらくキスしてこんといてな！？」

青「なんでそうなんねん」

黄「今回みたいに子どもってどこでいらんこと言うかわからんやろ、嘘やないからキツくも言えへんし」

青「言わせとったらええやん！」

黄「いいわけないやん、あほ！」

赤「ままぁ…」

キッチンでコソコソ言い争っているところにリビングからとぼとぼとやってきた大毅が淳子の手をくいっと引っ張ってしゃがませた。ふたりの目線が合わさる。

青「………あ。」

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