１４ ページ14
.
俺たちがケンカをしている原因──あの日は帰ってくるのが遅くなって晩ごはんとお風呂を済ませた淳子が温めなおしてくれたごはんを食べながら、妊娠報告をした地元の友達や大学の友達から返ってきたお祝いのメッセージにひとつひとつ返信をしていた。
黄「ねえー…ごはん食べながらスマホやめてや」
青「あ、うん、おいしいで」
黄「そんなん聞いてへんし……あっ、ねえ流星」
青「これ返事したら聞くからちょっと待ってな」
黄「……もういい」
青「え、なんて？」
黄「もういいって言ったの、わたしもう寝るから」
青「は？」
久しぶりに連絡をとりあった旧友たちはまるで自分のことのように妊娠をよろこんで俺たちを祝ってくれているのに淳子は「だって流星スマホばっかりやん」と俺の手のなかで次々とメッセージを受信しつづけるスマホをみて冷めたように笑ってため息を吐いた。
そこからああじゃないこうじゃないと口論に発展して部屋に逃げ込んだと思った淳子がリビングに戻ってきたと思えばなぜか着替えていて、ふらっとコンビニに行くのとはわけが違う量の荷物を抱えていた。
黄「実家に帰らせていただきます」
呆気にとられたまま家を出ていく淳子の背中を見送って２日目──たった２日、淳子がいないだけで家のなかはまるで自分の心みたいにぐちゃぐちゃだった。
緑「そんだけ淳子さんにまかせてたってことやろ」
青「……それは反省してる」
それを知ってか知らずか折角の休日だというのにわざわざ心配して家までやってきてくれた神ちゃんはリビングの至るところに脱ぎ捨てられた洋服を拾い集めながら眉を下げた。
緑「じつは今日ここに来たの、淳子さんに��家のなかひどいことになってると思うねんけど、帰ったときにそんなん見たらわたしまたキレてまうから神ちゃんおねがい！��って頼まれて来たんよ…さすが、お見通しやね」
有名ホテルの完全予約制のアフタヌーンティーでしっかり買収されたとおしえてくれた神ちゃんは「いつ淳子さんが帰ってきてもいいようにしておこう」と部屋を綺麗にして炊事洗濯をこなす。
青「あぁー…ほんま情けない」
緑「俺は家事が得意やし苦じゃないタイプやから」
青「そうかもしらんけど…はぁ…子どもが生まれたら子育てのサポートはまかせろなんて淳子に大見得切ってもうたわ…」
緑「…それ淳子さんに言うたん？」
青「え、うん…何でも手伝うからまかせてって」
あちゃ〜…と頭をかかえる神ちゃん。
青「…え？」
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 440人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：26 | 作成日時：2022年4月26日 12時
