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黄「実家に帰らせていただきます」
お互いに虫の居所が悪くてくだらないことがきっかけで口論に発展してしまい、自分の部屋に逃げ込んだと思ったら荷物をまとめた淳子はドラマで聞いたことがあるような捨てゼリフを吐いて家をでていった。
紫「ほんまええ加減にせぇよ。なーんでおまえらの痴話喧嘩に毎回俺が巻き込まれなあかんねん！！」
青「……すんません」
俺も淳子も実家は関西。やっと悪阻が終わったばかりで安定期に入ったとはいえど淳子が妊婦であることに変わりはなく、少しずつ大きくなってきたおなかで移動するには容易ではない距離──そうでなくてもアパートで同棲をはじめた頃からケンカをすると淳子は�陲舛磴鵑硫箸貌┐温�んでいた。ほんとに実家に帰られたらそれはそれで困るんだけど、せめて小瀧のとこにせえよ…と。これはずっと前から思っている。
紫「あいつも考えてタクシーで来たけど…あかんで」
青「うん、わかっとる」
紫「ったくよぉ〜…なんかあったら連絡するわ」
青「ほんまごめん…淳子のことよろしく」
付き合ってからこれまで幾度となくケンカをしてきて何度も�霤腸箸砲�世話になってきたけど、これまでの経験上１日以上ケンカがつづいたことがないから、今夜�陲舛磴鵑剖鮹圓鯏任い討垢辰�りすれば明日の仕事終わりには帰ってきているだろう。
だが、しかし──
黄「のんちゃんランチ行こう」
桃「え、淳子さん、流せっ、はいはい行きます〜！」
青「……」
出社時にエントランスで目をあわせてくれなかったのは予想の範疇。仕事をしてるうちに気持ちが落ち着いてランチに誘えば「流星のおごりやで」ってわざとらしく拗ねた子どもみたいな表情をするけど耐えられなくて笑っちゃうっていうそれを期待してたけど、まだ消化してきれてないのだろうか。
紫「帰りたないって」
青「えっ……」
紫「流星さー…おまえ何してもうたんよ」
青「何って…くだらないことが原因で…」
紫「まあ俺的には家のことやってくれて飯作って風呂沸かして待っててもらって至れり尽くせりやから全然いいんやけどな？」
青「えっ、ちょお…はぁあ！？」
容赦なく電話が切られ、途端に静かな家の広いリビングにひとりでスマホを握りしめてぽつんと立ち尽くしている自分がひどく虚しく思えた。
青「〜〜〜なんっやねん、もう！！」
俺が何をしたと言うんだ。俺だけが悪いのか。
あの日だって──あれ、なんで口論になったんだっけ？
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作者名：26 | 作成日時：2022年4月26日 12時
