緑黄８ ページ45
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カツカツカツ。わざわざ浴衣を着なくても、なんて思っていたけど小気味よい下駄の音は夏祭りにやってきたことを実感させてくれて気分が高揚する。ただ地元の夏祭りを親ではなく友達とまわるようになった照史がいないからちょっとばかり寂しいけれども。
緑「人多いなぁ…絶対手ぇ離したらあかんで」
赤「やって！ぜったいはなしたらあかんよ！」
黄「こっちのセリフな？」
緑「大毅、淳太のこと頼むで！？」
赤「まかして！じゅんた、手っ！」
黄「ええ〜…はい、お願いします」
赤「ふふん♪」
桃「のんも！」
緑「のんちゃんはパパが肩車したるからな〜」
桃「わあ〜！のんちゃんおっきくなった〜！」
子どもたちが去年着てた甚平、だいちゃんものんちゃんもお祭りが終わったら寝間着行き待ったなしなくらいギリギリだけどサイズアウトになってなくてよかった。のんちゃんが着てる恐竜柄の甚平は照史と大毅も着てたやつだけど見納めかな…照史はたこ焼きのソース、大毅はかき氷のシロップをこぼして何度もシミ抜きに必死になったのも今となってはいい思い出…これ捨てられへんかもしらんから寝間着としてすこしでも長く着てもらいたいな。
桃「あっ」
緑「あっ」
黄「えっ」
赤「あー」
くちも手もチョコまみれにしたのんちゃんの手元からぽろっと逃げたチョコバナナはまだ半分以上残っているというのに無惨にも地面に落下した──ばっちりのんちゃんの太ももにバウンドしてしっかり甚平の裾とズボンにチョコレートを付着させてから。
緑「今度こそ落とさないにしっかり持つんよ？」
桃「あーいっ」
黄「のんちゃんおいし？」
桃「おいち♡」
そのあともたくさん食べて遊んで、まだ帰りたくないと散々駄々をこねていたふたりもあきれたパパの「もう知らんで」でころっと帰路についた。そしたらビックリ。
緑「おぉー…派手にやったなぁ」
てっきり甚平についてしまったのはチョコバナナのチョコレートだけだと思っていた。なのに、明るいところで見てみたら、たこ焼きのソース、かき氷のシロップ、フランクフルトのケチャップ……。
黄「さすがビッグベイビー、格が違うわ」
桃「じゅんたぁ…」
黄「んー？」
桃「ぽんぽんいたぁい…」
赤「だいも…」
黄「えー？もー！食べ過ぎやねんっ！」
それから数分後、照史がドタバタと騒がしく帰ってきたと思ったら開口一番「食い過ぎた！」とトイレに雪崩れ込んだ。はぁ…。ほんま愛すべきアホばっか。
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作者名：26 | 作成日時：2022年2月11日 16時
