緑黄７−２（★） ページ33
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日曜13時半。気合いを入れすぎたあまり30分も早く待ち合わせ場所の駅前についてしまった。スマホで時間を確認しても５分しか経ってなくて絶望していたら、くいくいっと洋服が引っ張られて顔をあげると淳太くんがふわりと微笑んでいた。
緑「…え、幻覚？」
黄「何言うてんの」
緑「だって来るの早ない？」
黄「それ神ちゃんが言う？」
映画館の入った施設の屋上のテラスで映画までの時間を過ごすことになった。休日の昼時、子どもたちの楽しそうな声で賑わっているテラスの隅に佇むベンチに並んで座る。沈黙を破ったのは淳太くんだった。
黄「神ちゃんは俺のどこを好きになったの？」
緑「えっ」
黄「この間神ちゃんに俺のイメージしてるデートや言うて誘われてから考えてみたんやけどそういうことかなって…勘違いやったらごめん」
緑「勘違いやない！」
映画の時間になるまで、�陲舛磴鵑硫箸任呂犬瓩堂颪辰浸�にひとめぼれしてから淳太くんのことを知れば知るほど好きになっていったとまとまりのない下手くそな話を淳太くんは頷きながらずっと聞いてくれた。映画館の席について薄暗くて顔が見えないのをいいことに「俺に脈ある？」と聞いてみた。
黄「神ちゃんのこと意識しはじめたばったやしな…神ちゃんの行動次第なんやけど…どう？落とせそう？」
挑発的に言葉のあと劇場内は非常灯が消えてまっくらになり、いくつか予告が流れて本編がはじまったけど淳太くんの言葉が頭をぐるぐる回っていて映画の内容なんて全然入ってこない。
どうしよう、どうしよう。あかんかな。
悩みながらビビりながら、肘掛けに置かれた無防備な淳太くんの手におずおずと手を重ねて繋ぐ。拒否られることはなくむしろ握りかえしてくれたけど、そこから胸の高鳴りと手汗の心配で気が気じゃないまま迎えた終盤でまさかの大画面いっぱいの濃厚キスシーン。
黄「お、おもろかったな」
緑「アクションすごかった…あはは…」
右手のぬくもりと気まずさを残しながらの帰路。
つぎの角を曲がれば淳太くんの家は目と鼻の先。
緑「嫌やったらぶん殴ってでも止めてください」
黄「えっ──」
緑「あの……好き、です、付き合ってください」
黄「神ちゃんって可愛い草食系の後輩やと思ってたけど意外と肉食なんやな……」
緑「えっと…」
黄「浮気とか許さへんから。ほな、またね？」
家に入っていく淳太くんの背中を見送り、ぽつり。
「淳太くんのくちびるめっちゃ柔らかかったぁ…」
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作者名：26 | 作成日時：2022年2月11日 16時
