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赤黄１０－１（★）ページ29

25.5話

　ラジオ以外の仕事を休業してから帰宅すると玄関で淳太が「おかえり」とか「お疲れさま」と毎回迎えてくれて、同棲をはじめた時にも似たようなことを思ったけど＂っぽい＂と感じて口許がだらしなく弛む。

「大掃除でもしたん！？」

玄関にまとめられた大量のゴミ袋に驚かされると同時に自分の部屋にも選別して処分しないといけない大量の紙類があることを思い出して気が重くなったままリビングに入るとご馳走がお出迎え。

「あれ…今日って…」

「あーっ！そう！お義母さんから荷物届いてん！」

そういえば昨日の夕方あたり、北海道旅行の土産を送った旨の連絡がきてた。適当に返しちゃったけど、豪華なもの送ってくれたならあらためてお礼言わないといけない──なんて思って聞けば送られてきたのはご当地カレーと瓶詰めのつまみやごはんのお供。

「…あれ。そんなもん？なんや晩ごはんが豪華やから、てっきりいい肉でも送られてきたんかと思った」

「それは…」

「顔真っ赤やで」

「え、嘘っ！？」

「うん、嘘。でも淳太も嘘ついてるやろ」

「〜〜〜っ！」

わかりやすく口吃る淳太は最近忙しい俺にご褒美だとなんとかしぼり出して言うけど、いつまで経っても嘘吐くのが下手なのがほんま愛おしい。

「ほんまは？」

「……宅急便のおにいさんが」

えっと……荷物を届けてくれた宅急便のおにいさんがすごくかっこよくてタイプだったから浮かれてしまいました、なんてオチないよな。無理なんだが。

「タッキュウビンノオニイサンガ…？」

「あ〜〜〜っ！もうっ！宅急便のおにいさんが俺のこと重岡さんって呼んできてハンコも重岡印を捺してる自分を客観視したらそっか俺も重岡なんやとかほんまにしげと結婚したんやなって実感してもうてなんやうれしくなって気づいたらご馳走…なっ、なんやねん！にやにやすんな！あほ！食え！とっとと食え！いらんなら俺が全部食う！」

恥ずかしいのか顔を真っ赤にしてひと息で捲し立てて息絶え絶えではぁはぁしてなんやねんこいつ。重岡になった実感してうれしくてご馳走作ってもうたとか……あーやばーかわいいーかわいすぎるやんか、そらぁにやにやもするやろ。不可抗力やんこんなん。

「すいません重岡さん、おかわりいいっすか？」

「おまっ…」

「重岡さん」

「〜〜〜〜っ！！！」

このあと調子に乗っていじわるしすぎた結果、「中間にもどる！」と苗字を返されそうになったのは本気であせったけども。返品不可です。

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