兵庫水軍と鬼狩りの兄妹続編

猪突猛進(3) ページ4

猪ノ助「そうだな。此処は正しく女王蟻の巣穴だ。この穴を見る限り、上一帯の遊郭は、全て奴の狩り場なんだろうぜ。あの帯を通せる穴さえ空けとけば、簡単に上の遊女共を攫えるからな。」

重「酷い！こんな真似するなんて！早く助けなきゃ、如何したら出してあげられるのかな。」

猪ノ助「ん？オイ、何してんだ此奴らは？」

重「どしたの？あっ網問と善逸君！やっぱり捕まってたんだ！でもなにこれ？鼻ちょうちん出して寝てるんですけど、二人仲良く。」

見れば、確かに帯の1枚に、網問と善逸が並んで寝ている姿が有る。見た目には、お茶目な帯の柄にしか見えないが、これもまた閉じ込められているのだ。恐らく、帯に取り込まれている間は、眠らされてしまうのだろう。

舳丸「全く呑気なもんだ、助けに来たってのに。本当に何してんだよ。」

？「お前らこそ何をしてるんだよ？他人様の食料庫に勝手に入りやがって、汚いね。醜い、臭い、糞虫が！！」

猪ノ助「ッ！？」

何と、禍々しい気配を放ちながら、ぐねぐねと帯がその姿を擡げる。まるで蛇かミミズだ。

重「あっ、あれは、帯に目と口が！動いてる！あの帯が今の声を！？」

舳丸「まさか生きているのか？鬼の手下か、或いは道具か…重、猪ノ助、やるぞ！」

重と舳丸は護身刀を、猪ノ助は、自分の日輪刀を抜いた。二刀流である。

猪ノ助「あんたらはサポートを頼む！鬼は日輪刀じゃねえと倒せねえ！行くぜ！化け帯が！！」

グワッ！全ての帯が一斉に向かってくる。猪ノ助は跳躍し、鮮やかに帯達を切り裂いていく。

ザッ！シュバッ！ザシュッ！

猪ノ助「ぐねぐねぐねぐね、気持ちわりぃんだよミミズ帯！」

帯は猪ノ助を捕らえようと襲い掛かるが、華麗な躰さばきにかすりもしない。

猪ノ助「グハハハ！動きが鈍いぜミミズ帯！欲張って人間を取り込み過ぎてんだよ！」

帯の血が滴る切り口から、解放された遊女達が次々に地面に落ちていく。

ズズ…、ドサッ、ドシャッ！

重「よかった。人の柄の真横の両端を切り離せば助け出せるんだ。でも凄い！あんな荒削りな動きなのに、閉じ込められてる人達を出せる箇所だけ切り離してる！」

舳丸「ハチャメチャだが、戦闘センスが優れてるという話は事実だったのか！」

猪ノ助「当たり前だろう！でっぷり肥え太った化けミミズの攻撃なんざ猪ノ助様には当たりゃしねえ！ケツまくって出直してきな！！」

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