実感してしまうんだよ ページ29
松村「…ごめん、やっぱりなんでもない」
目の前の北斗くんは確かにそう呟いたのだけれども、
私はそれどころの話ではなく耳からすり落ちてしまった
確かにこの目で見てしまった
奥の個室に可憐で可愛らしい雰囲気を持つ女性、
と、横で微笑んでいる樹を
樹が他の女の子とニコニコしながら笑いあっているのなんて幾らでも見たことがある
いつだってそれを横目で見ても、何にも感じることはなかった。だって分かっていたから、分かりきっていたことだったから
同じなのに、
なんでこんなにも、
胸が軋んでいるのだろう
松村「‥‥‥Aさん？」
北斗くんの声で、ハッ、と自分の状況を思い出す
目の前には心配そうな目線を向けている北斗くんがいる
松村「どこか具合悪い？」
「ううん、大丈夫だけど。ちょっと御手洗行ってくるね」
大丈夫だけど、
大丈夫じゃない私は足早に奥の御手洗に急ぐ
樹がいる個室を横目に
✼
とりあえず深呼吸をして、心よ落ち着けと願う
好きだと、好きという感情があると、
こんなにも面倒なのだな、としみじみ実感する羽目になった
こんなにも苦しいなら
「好きになんてならなきゃよかった…」
私の唯一の弱音も、卑しくもトイレの水と共に流れてしまう
このまま流しきってくれればいいのに
大丈夫と、一旦御手洗から出たもののやっぱりダメかもしれなくてその場に蹲る
立たなきゃ、北斗くんが待ってるのに、
私の一世一代のこの思いは、
田中「Aちゃん、大丈夫？」
儚くも、この男の前では散ってしまうのだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2627人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
文月(プロフ) - まゆみんさん» コメントの返信、遅くなってしまい申し訳ありません。今のところオチなどハッキリとは決めていないのですが、メインは松村北斗さん、サブで田中樹さんだと思って読んでいただけましたら幸いです＾＾ (2月8日 1時) (
レス) id: aa3dc4d563 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみん(プロフ) - 誰メインですか？ (1月13日 19時) (レス) @page34 id: 66c22866d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：文月 | 作成日時：2022年1月16日 22時
