夢をみる海 (ページ12)

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チソンが部屋をあとにしてから

しばらく時間が経った頃、再びドアがコンコンとなる

そろそろ時間だろうか

時計は19時を過ぎたところで、少し前から部屋の外が騒がしさを増した気はしていた

さっきも、ロンジュンの大声が、この部屋まで聞こえてきたくらいだった

( 確か、またヘチャンが怒られていた )

「はーい」

「A、お待たせ。準備できたよ」

「なんか、緊張してきた」

知らない人があと4人もいるというのが、緊張感を募らせる

その中に、あの夜を知っている人がいる

なんとなく、ロンジュンでも、ヘチャンでも、チソンでもないような

分からないけど

ただ、考えてみると

やけに優しいロンジュンは、あの夜を知っているからかもしれないし

わたしに構おうとするヘチャンだって、あの夜を見ていたからかもしれない

兄妹になれたらというチソンも、あの夜を繰り返さないようにするためなのかな、なんて

ただの優しさかもしれないのに、そんなふうに考えてしまう自分が嫌だった

入院してすぐ、イ先生に「私を助けてくれた人は誰なのか」と質問したことがある

だけど、のらりくらりとかわされてしまって

結局教えてもらうことは出来なかった

だから、ここで暮らして

きっと見つけ出して

いずれその人と話をしたいから

「A？」

ロンジュンに名前を呼ばれて、ハッと我にかえる

「あ、ごめん。みんな待ってるよね、行こ」

「緊張しすぎだよー、気楽に気楽に」

「うん、ていうか、すごい賑やかだね」

階下からはすでに、昼間とは比べ物にならないほどの声量で会話が飛び交っている

「みんな、今日を楽しみにしてたから」

みんなー、Aきたよー、とロンジュンが階段を降りながらよく通る声で言う

なんだが映画の主人公が登場するみたいで

ちょっと恥ずかしい

丸いダイニングテーブルと、カラフルな椅子が8脚

そこに、ヘチャンとチソンと

先程まではいなかった4人が座っていた

「じゃ、Aはここ」

「ヌナ〜僕の隣です」

「チソンアさっきぶり〜」

「チソンイが絶対Aの隣がいいって言ったからね」

「や、ヘチャニヒョン、それは言わない約束じゃ……！」

「はいはい、一旦黙って、注目〜」

ロンジュンがパン、と手を打って、わたしに視線を向けた

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