桃黄１−２ ページ5
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保育士が保護者に恋心を抱くなど言語道断。保育士としてあるまじき行いなのは重々承知してるけど自覚してしまったらもう無理だった。
紫「最近ともひろくんがたくさんお話をしてくれるようになって、おうちでわんわんを飼いはじめたと教えてくれました」
シングルで忙しいひとがペット？と不思議だった。面倒を見てくれるひとでもできたか──何気ない会話から恋人の存在を探す。
紫「はい。あ、そういえばいつもお迎えにきてくださっている小瀧さんとはどういうご関係で…というのも保護者として登録していただければご兄弟の重岡さんみたいに毎朝連絡ナシで小瀧さんに引き渡しができるので…あの、けっして中間さんのプライベートを知りたいとかそういうのでは…」
黄「そうなんですね……小瀧は…──弟です」
紫「ああ！はい、なるほど！！」
そして気になる小瀧さん。しどろもどろだったのに、弟と聞いた途端に声のトーンがひとつもふたつもあがって饒舌になってしまう。
桃「お世話になってます」
紫「こんにちは。小瀧さんってともひろくんパパの弟さんだったんですね〜！」
桃「お、と、おと…」
紫「はい。甥っ子にもやさしくて素敵です！」
桃「あは…ははは……そ、そうでしょー！？」
微妙な反応の小瀧さん──冷静に考えて見ればひとつの男兄弟で中間・重岡・小瀧と３つの苗字が出てきているのだ。何か引っかかる。が、この時の俺は��小瀧さんは弟��が脳内を支配していてそれ以外は考えられずにいた。
紫「あの…中間さん…素敵なお兄さまですね」
桃「え──…」
緑「のんちゃ」
紫「ともひろくん、また明日。さようなら！」
緑「さいならあ」
それから数日後、ぱたっと小瀧さんの姿を見ることがなくなり、智洋くんは延長保育の申請がきて、中間さんが送迎をするようになった。
紫「パパでともくん嬉しいね」
緑「のんちゃんしゅうかちゅちゅうやから」
紫「就活…おぉー弟さん就活中？」
黄「え…あ、まあ…はい」
緑「せえしゃいんなったらぱぱとけっこ、」
紫「けっこ…結婚…え！？」
黄「とも！はよ帰ろ！ありがとうございました！」
智洋くんを抱きあげて足速に去っていく中間さんのうしろ姿をただくちをあけて見送ることしかできなかった──ちょ、ちょ、ちょっと待って。ドウイウコト？
紫「え……俺…失恋した？」
それからしばらくして中間さんと小瀧さんそれぞれの左手の薬指には指輪。それはつまりソウイウコト。
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作者名：26 | 作成日時：2022年12月24日 0時
