緑黄12(★) ページ18
.
「はあ!?聞いてへんぞ!!」
淳太から「近くにおるから寄っていい?」と連絡がきたかと思ったら承諾とほぼ同時にインターフォンが鳴って土産片手にごきげんで乗り込んできた。
「だって言うてへんし…ええやん、飲も飲も!」
淳太たちが家を建ててからはお邪魔するばかりだけど、単身用のわが家で幼馴染みとする宅飲みは悪くない。淳太がふつうの大学生活を送っていたらこんな感じだったんだろうな〜と青春を取り戻すように盛り上がっていた。が。
「神ちゃんとケンカしてうちに来たなら話は別」
「なんで!」
なんでってそりゃあ怒った神ちゃん怖いから。
神ちゃんって普段優しい分キレたらあのわんぱく坊主の大毅がビビるくらいには怖いねん。それが淳太や家族のこととなったらさらにやばい…バリ怖いねん…。
「どうかお引き取りください」
「むり!俺は帰らへんからな!」
「おまえらのケンカに俺を巻き込まんでくれ」
「ていうかともは俺がここにいることを知らんし、そんな簡単にバレることないからだいじょーぶ、」
「じゃなさそうやで」
ブルブルと震える俺のスマホ。着信相手は神ちゃん。
多分やけどな淳太。あのひとおまえにGPSつけてると思うねん。神ちゃんから隠れられへんし逃げられへん運命、とは電話に出るなと懇願する淳太には言わないでおこう。
けど俺は出るよ。まだ生きたいし。
「もしもし、すぐ帰します」
『そうして。てか迎えいくから逃げへんようにして』
「はい、かしこまりました」
『じゃ』
会話は聞こえてないはずだが慌てて動き出した淳太を逃すまいと羽交締めで確保。玄関からいっちゃん距離のある部屋にほん投げたら観念したのか大人しくなった。
「ほんま迷惑かけてごめんな〜」
迎えにきた神ちゃんが全然怒ってなくて穏やかで安心しつつ、他愛ない会話をしながら淳太のもとへ連れて行く。
「は?」
「……どういうことかちゃんと説明して」
「えと、淳太が逃げんよう、」
「自分のベッドに入れたん?」
「ええーと…」
淳太を投げ入れた先は寝室で酔いがまわって眠たくなったのか淳太は俺のベッドで布団にくるまって寝ていた。
「淳太」
「ん…とも…、んんーっ!?」
「淳太から別の男のにおいがするとか無理、帰るで」
神ちゃん(と淳太)が嵐のように去っていってしばらくして照史から「おとんと淳太くん知らん?」の連絡。
「もうすぐ帰ってくるんちゃう?」
…知らんけど。
20240220
144人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:26 | 作成日時:2022年12月24日 0時