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赤黄２０ページ15

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　先週誕生日を迎えた神ちゃんがスタッフが用意してくれたケーキをしあわせそうに頬張っている姿を微笑ましく眺めていると「つぎはせなくんやな」と神ちゃんを皮切りにはじまる誕生日ラッシュ──忘れてたわけじゃない。しげと何度も何度もくりかえし打ち合わせをしてプレゼントの準備だってできてるし先月あたりから何をしててもずっと頭の片隅には＂誕生日＂がいるけどあらためて言葉にされるとハッとする。

「ママがんばってるなぁ」

息子にとって生まれてはじめての誕生日は、俺としげにとっても生まれてはじめてのわが子の誕生日でもあるわけで夫婦そろってオフを死守し、朝から神ちゃんと流星から仕入れた＂スマッシュケーキ＂を手作りするため、ほとんど経験のないお菓子作りに大奮闘。

「せなくんたのしみにしててね」

「うーっ」

しげにだっこされてキッチンにやってきた本日の主役は誕生日とかケーキとかなんのこっちゃわかってないけど、目敏く見つけた大好きないちごをつまみ食いしてごきげん。

「この子がうまれてもう１年やて」

「あえー…」

お昼寝中に部屋を誕生日仕様に飾りつけして、あとは食卓にごちそうをならべるだけ──そのまえにすやすやと眠っている息子の可愛い寝顔を眺めながらひと休み。

「あ、そうや。捨てるいうからもらってん！」

しげが持ってきたのは撮影の小道具で使ったという折紙で作られた飾りのついた笹──短冊もあんで！というのでせっかくだから書いてみることに。

「なんて書いたん？」

「家族がずっとしあわせでありますよーに…しげは？」

「えー？内緒。いっちゃん上につけよーっと！」

「は！教えろや！見えへんし！」

結局しげが短冊に込めた願いはわからないまま、本日の主役が目を覚ましたので大急ぎでごちそうの準備をして誕生日パーティーがスタート。

「おお、いい食べっぷり！」

「クリームついてるの可愛すぎんねんけどぉ〜！」

スマッシュケーキはおててとお顔をクリームまみれにする豪快な食べっぷりでおかわりまで要求して俺のケーキまで食べた。

「……淳太、ほれ」

「えっ」

「この前照史も言うてたやろ、俺らもパパママ１歳って」

「ほぉ」

「〜〜〜だぁ！ええから黙ってもろとけ！！」

「うそうそ、ありがと」

息子が寝たあとしげからプレゼント。
俺としたことが、何も準備をしていない。

「お礼はこれで」

ぺらり。しげの短冊。

──家族が増えますように。せなに兄弟がほしい。