《漆》 望むは金。

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キラキラするものが好き。


例えば、お金。


例えば、太陽。


小瓶の中いっぱいに入った金平糖だとか、赤詰草に落ちる雨の水滴。
波璃の甕(かめ)の中を泳ぐ金魚や、綾錦の着物、御守りの宝石なんかも好き。



それからそれから、




……それからやっぱり私は、お金が好き。








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『んふふはふっ、散財万歳ぃ〜〜〜〜♡♡』





善逸くんと一緒に(といっても連れ回しているような感覚だったけど。ほんとのほんとに、これでいいのかな)、
色んなお店を覗いてはお買い物をした。


しのぶさんに教えてもらったよく効く軟膏だとか、
師範や家族に送る手紙のための可愛い便箋だとか。


みんなへのお土産はお菓子が良いかなって善逸くんと話して
(だって、約1名ほど「なんだ食い物じゃねえのか」と目に見えて落胆しそう、というか絶対するのがいるので)、
お菓子の食べられない禰豆子ちゃんにだけ、こっそり別にお土産を用意した。

ああっもう、やっぱり思ってた通り！ 散財って楽しい！！！！！





『〜〜〜〜っいっぱいお買い物しちゃったわ！ それも自分の、私の稼いだお給料で〜！！ んふ、っうふふ、あはは！』


「う、ウン。嬉しいなら何よりだよ……(？)」





隣の善逸くんがやや引いてるような気がしないでもないが、気の所為ということにしておこう。

まあほら、本当に嫌がってたらこんな風に手を繋いで楽しくデェトなんてしないでしょ？ 多分。






「……折角貯めた金なのに、使うのが楽しいの…………？」


『えっ！？ もちろん！！』





むしろ使わないの？ 何故？？？

もしかして善逸くん、お金を貯めるだけで何か効果があるとでも思ってるぅ…？！

と、考えたら即座に「んなわけないでしょ？！」と返事が返ってきた。
まだ口に出してない！！






『お金は使うためのものだよー。鮮度が命でしょ？』

「いやいや聞いたことないからね？！！？ カネに鮮度とか！！」






ふるふると首を横に振る善逸くんと一緒に、黄金色がさらさら揺れる。



……あ、綺麗。

間近で見るそれに 綺麗だな、って素直にそう思った。

でもなんだか最近はそれだけじゃなくて、なんていうか。





『んん〜……？』





こうやって私のすることに逐一反応する善逸くんを見てると、なんか。
胸とおなかの間らへんの、その奥のあたりが、『きゅう、』ってなる。

これって。








『…………？ ……なんか、お腹空いた？ かも…？』





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