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もぉ、手のかかる人なんだから。
善逸くんの羽織の胸あたりに触れたままになっていた両手をどかして、改めて顔を見上げる。
『…あ、あら??』
すると何故か、善逸くんの顔は真っ赤になっていた。
ていうか、あれ? 瞬き、してる?? 目見開きすぎて、あの、乾かない?
大丈夫???
「……」
見開かれたままの善逸くんの目が、じわじわと血走ってくる。
唇がわなわなと震えて、少し掠れた、小さな声で、
「行って、くる…、」って。
『! うん、いってらっしゃい!』
とりあえず、出発の覚悟は決まったらしい。良かった。
にっこり微笑んだら、善逸くんがもう耐えきれない!というように
「〜ッ、アァァ―――――――ッ!!!↑↑」と叫んだ。
……これは…?? どういう意味…??
がんばるぞ!っていう雄叫びかもしれない。
まあよくわかんないけど、元気そうでなによりだ。
「俺!!!!!! っ、何が何だろうと絶対帰るから!! 手が砕けようが脚が潰れようが、ほんとに絶対絶ッ対、
ぜえ〜〜ッたい、Aちゃんのところに帰るから!!!!!
待っててね!!? 良いんだよね!!?!?
い、、、、いってきまァ〜〜すッっっ!!」
『へ? う、うん…!(???)』
バビューンッ!、とすごい速度で善逸くんが走り去っていく。
手が砕けるのも脚が潰れるのも、居合の達人の彼には致命傷なのに、それでも帰るつもりらしい。良い事だ。
ただ。
『んぁれれ〜…?
………わたし、みんなで待ってるって言わなかったっけ……??』
首を傾げても、疑問に答えてくれる人はいない。
ひとりその場に残された私の上空からは、いつの間にか雲が晴れて星が覗いていた。
■
(おまけ)
「なぁ見たか聞いたかチュン太郎!!! いってらっしゃいとか待ってるとか言いながら羽織直してくれてさ、あんなのもう結婚じゃん!!!!!!? アァ〜〜〜〜〜ッ! もう結婚してたんだ、俺たち!!!!!!」
「ヂュン!! (うるさい!!)」
「うぃっひひひ、だよなぁ〜♡♡ お前もそう思うよなァ〜♡!!
あああどうしよう、俺、鬼のとこ行く前に死ぬかも、トキメキで♡ そしたらごめんなぁ、チュン太郎。お前困るよなぁ♡」
「チュン……」
「!!? お前、今気持ち悪いなこいつ、って思った!? なんとなくわかったぞ!!!!?!? もぉお〜ッほんとに可愛くない雀ですことォ!!」
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。 - この小説好きです。善逸面白いし、絡みが面白いし、甘酸っぱいし……最高です (5月18日 21時) (レス) @page16 id: dd7c50f6d5 (このIDを非表示/違反報告)
朝餉。(プロフ) - 優美さん» 初めまして! コメントありがとうございます!! 楽しみに思っていただけて私も嬉しい限りです♪ これからも更新頑張りますので、よろしくお願いします! (5月12日 20時) (レス) @page35 id: a15d3d111b (このIDを非表示/違反報告)
朝餉。(プロフ) - AYUMIさん» コメントありがとうございます!! 頑張ります! もうしばらく焦れったい2人の様子をお楽しみくださいませ!笑。 (2023年4月27日 22時) (レス) id: a15d3d111b (このIDを非表示/違反報告)
朝餉。(プロフ) - Komachiさん» コメントありがとうございます!! 励みになります。 大変お待たせいたしました! 不定期にはなりますが、これからもうちの夢主と善逸くんを見守っていただけたら幸いです(*ˊ˘ˋ*)♪ (2023年4月27日 22時) (レス) @page26 id: a15d3d111b (このIDを非表示/違反報告)
優美(プロフ) - 初めまして!更新ありがとうございます!好きです。夢主が恋だと気づく瞬間だが楽しみです‼︎大変だと思いますが、今後も頑張ってください! (2023年4月25日 20時) (レス) @page25 id: 51a966adba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朝餉。 | 作成日時:2022年2月16日 19時