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「 お腹すいたねえ 」
「 なんか買ってこようか？ 」
たくさん遊んでお腹がすいてきた私たちは、海の家で何か買うことにした。
「 じゃあ私お手洗い行ってくるからお願いしてもいい？ 」
「 おっけー 」
じゃああとでね、と別れたあとトイレに駆け込む。
「 はあ緊張した… 」
日焼け止めを塗り直し髪の毛もできるくらい整える。
「 よしっ 」とトイレを出るとそこにはまだ天月はいなくて。
まだ買ってるのだろうとトイレの前で待っていることにした。
「 ねえお姉さ〜ん今1人？ 」
「 えっ…いや、違います 」
すると、いきなりにやにやしたチャラいお兄さんが話しかけてきた。俗に言うナンパだろう。
「 誰か待ってるの〜？じゃあ待ってるあいだに遊ぼうよ 」
「 結構です、彼氏を待ってるので 」
待っている間に遊ぶだとか意味のわからないことを言われて、中途半端な断り方をすると伝わらないと思わずズバッと言ってしまった。
「 うるせえなさっさと来いよ 」
「 え、ちょっと！ 」
しかし諦めの悪い奴だったらしく、力任せに引っ張られていく。非力な私が叶うわけもない。怖くて下を向くしかなかった。
「 ねえ、何してんの 」
「 あ？見ればわかるだろ！！ 」
聞き慣れた声に顔を上げると、そこには両手にかき氷を持った天月がいた。
めちゃくちゃ怒っているだろうに口だけが笑っていて怖かった。
「 もう1回だけ聞きますね。俺の彼女に何してんの？ 」
そういうとすぐさま右手に持っていたかき氷ごと男の人にぶつけた。
「 うわっっ何すんだクソ！！ 」
「 お前が何してんだよ 」
天月に引っ張られ背中に隠された私はただその場をはらはらとみているだけだった。
「 彼氏持ちなら早く言えよ！！ 」
「 言いましたよ！！ 」
捨て台詞を吐いて逃げていくお兄さんに思わず叫び返す。
けれど我に帰った瞬間、震えが体を襲い腰が抜けてしまった。
「 わ、大丈夫？ 」
「 ご、ごめんね…怖かった… 」
座り込む寸前のところで天月に支えられた。言葉をこぼすとぎゅっと抱きしめられた。
「 ごめんね、遅くなって 」
ぽんぽんと心地いいリズムで頭を撫でられて少しずつ気持ちが落ち着いてくる。
「 ありがとう、天月…かっこよかったよ 」
落ち着いたあと、そう呟けば返事代わりのようなキスが降ってきた。
「 また来年も来ようね、今度はちゃんと守るから 」
「 …うん 」
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作者名：高瀬その | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時：2018年6月26日 21時
