【歌い手短編集】平成最後の夏は君と！ (ページ13)

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坂田side

あぁ、なんであんなことを言ってしまったのだろうか

いやでも！見たいですはいはーい！！！なんて言ってもAは引くだけだと…思っていた

が、今日はなんだか少しだけ積極的な気がして

「…だって、嫌やもん」

ここは海

いくら沢山人がいると言ったって誰もAを見てないとは限らない

ここは家じゃない

「俺だけでええやん…」

坂田ってなにも考えてなさそう、いつかだかAに言われたこと

馬鹿野郎、考えとるわ

取られないかな、他の人見てないかな、仲良くしてる男と出かけとるんやないかな

あぁもうほんと気色悪い

自分ばっかり好きそうでなんだか嫌いじゃないのにもやもやする

ていうかA遅いな、自販機そんな遠くないやろ…

そう思って自販機のある海の家の陰に足を伸ばしたら

「…は？」

「スタイルいいねぇ」

は

「それ、脱ぎなよ」

は

なに、いっとるん

なにしとるん

触らんといて、そんな汚い手でAに触れんといて

そう考えると同時に伸びる手

「人の彼女に手出さんといて」

なんて、自分でもかなり感情を抑えたつもりだ

二度と言ってみろ、どうなるか知らんからな

あぁ、もうこんな涙目にさせて

「さか、た」

「うん、坂田やで…ごめんな」

そういうと泣き笑いのような表情を浮かべて俺の手を掴むA

あぁやっぱり駄目や

こんなかわええの、誰にも見せられへん

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