センラさんに誘拐された件について。

答え ページ10

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今 この人はなんて言った？

私の聞き間違いでは無ければ「 俺が拭いたるよ 」と言った気がするのだが……。


「 ？ なあに ぼう っとしてんの。はよこっちおいで 」


ちょいちょい と。

手招きしながらそんな事を言うセンラさん。


……いや、

いやいやいやいやいやいや、



「 自分で拭きますから……？！ 」
「 遠慮せんでも大丈夫やって〜♪ 」
「 遠慮してないですから……！ 」



どこをどう見て 遠慮している と感じたのだろうか。

やはり、センラさんは少し頭がおかしいらしい。


なんとか自分で拭こうとするも タオルはセンラさんが持っていて。

私が届かないように タオルを持っている手を ひょい と上にあげてしまう。


私は別に 背が低い という訳ではないが

センラさんの身長が高い方なので 上に上げられると取れないのだ。



ましてやお風呂場など 跳んだりしたら滑る可能性も0ではなくて。


流石に そんな恥ずかしいことで滑ってこけて怪我をするのだけは 本当勘弁である。


どうしようか と悩んでいる私を見て 1人、頭上で にやにや しているセンラさん。

なんだか無性に腹立つが だからといってタオルが取れるようになるか と聞かれたら 答えはノー。



「 寒ないん？俺が拭いたる って言ってんのに 」
「 いや、だから自分で拭きます、って……！ 」
「 ええ、」

「 ──────── Aちゃんは黙って、俺に拭かれていたらええんよ 」



不意打ちの 本名呼び。

それも 耳元でささやくように。


そんな事をした後に「 な？ 」なんて言われるものだから

私に与えられた答えはひとつしかなくて。


ただ、

「 …………は、い 」

と 答えることしか出来なかった。


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