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「あっちい……暑くね？」
「うん、暑い」
白いシャツを第二ボタンまで開けた彼は、手でパタパタと顔を扇いでいて。
いつもより見える面積の多い肌色から目を逸らす。
部活で疲れているだろうに、今すぐ家に帰って眠りたいくらいだろうに。
私なんかに付き合わせてしまっているのが申し訳ない。
なかなか腰を上げようとしない彼。まだ帰らないのかな。
不思議に思っていると、頬杖をついた彼がじっと私を見つめる。
「かわいいね」
「え、」
ふふっと笑った彼は、私をからかっているのか。
「ど……どうしたの、急に」
「いつも思ってた」
「……そんなことない、です」
「ううん。かわいいよ」
「……暑くすぎておかしくなっちゃったの？」
慌てて手で扇いでやれば、プッと吹き出した草川くん。
そうじゃない、と、笑いすぎて目尻に滲んだ涙を指で拭いながら、彼は口を開いた。
「おれさ、あんまりこういうの、得意じゃなくて」
「こういうの、？」
「なんていうかその……かわいい、とか、好き、とか、言うの。……思っても、口に出せないっていうか」
視線を机に落としたまま目を合わせない彼は今、相当恥ずかしいんだろう。
かわいい。
わたしなんかよりずっと、草川くんの方がかわいい。
思ったけど、草川くんがその言葉を言われることをあまり好いていないことくらい、私は知っている。
そしてもちろん、草川くんが素直に言葉を紡ぐようなことが苦手だということも知っていた。
「わたしにはね、十分だよ」
「……」
「草川くんの隣にいるだけで、緊張しちゃうから。このくらいでちょうどいいのかも」
今だって。隣同士の席に座っているだけで、妙に心音が速まってしまっている。
恋愛経験が浅いが故なのか、それとも、草川くんのことを好きすぎるが故なのか。
正解は、自分じゃ分からない。
「……そう、」
ちょっと照れくさそうに笑った彼は、ふと顔を上げて、こちらを向いて。
私はその横顔をずっと見つめていたから、必然的に目が合ってしまう。
草川くんはちょっと驚いたような表情をしてから、また恥ずかしそうに口角を上げた。
「……1個だけ、わがまま言っていい？」
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
