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「これでおあいこ」
べ、と舌を出した彼が見せた画面には、手にした携帯を見つめている私の横顔があって。
またそんな顔。いつどこを切り取っても画になる拓弥くんとは大違いで、嫌になる。
なんだか泣きそうになっていたところで、大きな手が頬を包み込んだ。
驚いて顔を上げると、まんまるの大きな瞳に私が映っていた。
「Aはいつでもカワイイから」
「え……」
「……とか、キャラじゃねえじゃん、俺」
恥ずかしそうな表情を見せながらも。
彼がいつもと違うのは、視線を逸らさないところ。
こんなに近くでじっと見られることなんて、今まで無かったから。
上手く息ができない。ドキドキしすぎて心臓が痛い。それくらいに緊張してる。
「あー……なんか今日ダメだ」
「わ……拓弥くん？」
「俺じゃないと思って聞いて。あ、いや、俺なんだけど。俺以外にこんなことさせるのはダメだけど」
耳元で聞こえるよくわからない彼の声。
そんな時。ドン、と突然聞こえた大きな音に肩を震わせる。花火が打ち上がり始めたらしい。
がっしりとした腕に強く抱きしめられて、固い胸から彼の鼓動が伝わって、彼の温もりを直に感じて。
あいにく私は花火どころじゃないんだけど。
「……浴衣、すげえ似合ってる」
「え、あ……」
「髪も。なんかもうめちゃくちゃかわいい」
「っ……」
抱きしめられているから、彼の顔は見えないし、私の顔も見えていないけど。きっとそれがお互いに好都合なんだと思う。
実際、今の私の顔は信じられないくらいに真っ赤になっているだろうから。
「袖掴まれた時とか、ほんとやばかった。あと、簡単にカッコイイとか言っちゃダメ。嬉しいけど、俺の心臓がもたない」
早口で次々と出てくる言葉たちに、ただただ体温が上昇していく。
普段の拓弥くんがこういうことを言わないから、余計に。
「あ……あと。……本当は俺の方が先なんだよね」
「……え？」
右手でスマホを操作した彼。
「こ、これ……」
「……撮っちゃった」
顔をくしゃくしゃにしながら、いたずらっぽく笑った拓弥くんがあまりにもかっこよくて、何も言えなくて。
見せられた画面。
そこには、自販機に飲み物を買いに行った彼を待っていた、あのときの私の姿が映されていた。
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
