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「え、あ……」
「あっ……ちがう。拓弥くん」
ハッとしたように口を押さえたA。
俺の気の抜けた返事を、怒っていると勘違いしたのか遠慮がちに視線を送ってきて。
俺の顔は、黙っているだけだと怖いように見えるらしい。初対面のAがその印象を抱いただけでなく、中学時代からの友人である海にもよく言われるほど。
「別に怒ってないよ」
「……ごめんなさい」
「違うって。ちょっと考え事してただけ」
無意識に伸ばしていた手は、彼女の髪を梳いて。
座っていたベンチの距離を詰めると、Aは恥ずかしそうに目を伏せる。
鼻をくすぐる甘い匂いは、あの時感じたものと同じ。
「バス、まだかな」
照れているのを誤魔化そうとしたのだろうか。
ついさっき、前のバスは行ったばかりなのに、それを彼女は俺と一緒に見たはずなのに。
思わず笑いそうになるのを堪えて、「あと十分くらいはあるよ」なんて返事をして。
俯いたままの彼女の顔を覗き込み、目が合った瞬間に短く唇を触れ合わせる。
目を見開いた彼女の顔が、みるみるうちに赤くなっていった。
「た、たくやくん！」
まわりを確認するAの慌て様が大袈裟で、思わず笑ってしまうほど。
そんな俺を見て、恥ずかしそうに唇を噛んだ彼女は、俺の腕を叩いた。
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
