好きだけど、好きじゃない。【安室透】part2

愛してる16 ページ16

いやいやいや、戻ってきちゃった？って、私、死んだんだよ……ね？


誰かに押されて、ドーン！って、なったんだよね？


なんで生きてるの私っ！


「あ、いたいた！A！」


大通りの方から走ってくる小柄な女の子。いや、女性は、私の友人の南川楓。


高校からの友人で、よく一緒に遊んだりしている。


「楓……」


「もう！最近治ったばっかりなんだから、無茶しないでよ！？」


そう言って、私の足元を指さした。


「……え？」


足元を見てみると、白目を向いて倒れている不良らしき男子高校生。


「そんな事で空手使っちゃダメでしょ！」


「あはは、ごめんごめん。お母さんみたいだね」


そう言うと、頬をふくらませて睨んでくる。


あはは、全然怖くないや。


そっか、私、電車に轢かれたって言っても、端っこの方にいたから、そんなにスピードなかったんだよね。


だから、手足の骨折だけですんだんだった。


私、体強いからなぁ。


……じゃぁ、全部、夢だったんだ。


覚めて欲しくなかったな。


……楽しかったなぁ。

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