第9話 ページ10
黒尾side〜
その日の夢は、母さんからの電話だった。
電話の向こうから聞こえる母さんの声は怒っていた。
そんな事、母さんは言わない。
これは夢だ。
でも、夢なんだから言ってもいいよな？
誰も聞いてない。
誰にも迷惑かけない。
だから、
目が覚めると、夢の内容はほとんど忘れていた。
俺、何言ったんだ…？
思い出せないまま、身体のだるさを残して
俺は朝の準備を始めた。
しばらく練習して休憩に入った時、
体育館の入口に人が集まり、騒がしかった。
なんだ？と俺も見に行くと、
そこには見慣れた姿があった。
黒「A…？」
「おにぃちゃん！」
母さんと父さんの写真を握りしめながら
怯えた顔をしていたAは俺に気づくと、
駆け寄って足に抱きつき
あのねあのねと明るい声で話をする。
一生懸命話すその声が段々聞こえなくなる程、
俺の中でどす黒い何かが渦巻いていく。
ただ俺はその何かを抑えるのに必死だった。
黒「いい子で待ってるって言っただろ。
なんでここにいるんだ」
「おにぃちゃんとけんちゃんがバレーしてるところ
みたかった、から…」
黒「約束しただろ！」
俺は怒鳴ってしまった。
すぐに我に帰ってAを見ると、
ごめんなさいと抱きしめていた手を離した。
「れんしゅうのじゃまして、ごめんなさい。
おにぃちゃんにあえたし、Aもうかえるね」
Aは笑顔を見せ、みんなにきちんと礼もして
外に駆け出して行った。
追いかけるべきなのは分かってる。
なのに足が動かねぇ。
ただ手だけが虚しく宙をかいた。
そんな俺に研磨が
研「黒は何にも分かってない。
なんでそんな事しか言えないの」
そう言い残して、Aが駆けて行った後を追いかけた。
俺はその場にしゃがみ込んだ。
言うべきじゃなかった。
何やってんだ俺…！
お兄ちゃんなんだろっ…！
だっせぇことしてんじゃねぇよ！
そう後悔していると、
猫又監督が俺の肩を叩いた。
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れお(プロフ) - 時雨さん» コメントありがとうございます！この作品の伝えたい事が伝わっていた事が何よりも嬉しく思います！どんな選択、行動も無駄ではありません。自分が頑張ってきた証です。今までのそしてこれからの自分を誇ってあげてください。応援ありがとうございます！ (1月5日 22時) (
レス) id: 013ef55b68 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 自分も年の離れた兄弟と親の居ない生活をしていたのですが、その時の苦労や頑張り、葛藤など沢山あった中で、自分のしてきたことは無駄じゃなかったのだと、昔を思い出して思わず泣いてしまいました。とても心に響く作品でした。陰ながら応援しています。 (1月4日 5時) (レス) @page23 id: 0f9c65e6cc (このIDを非表示/違反報告)
れお(プロフ) - ChachaYさん» いえいえ、コメントをくださる程楽しみにしていただけていることにとても嬉しく思っております。おかげで少し自信を持てました！ありがとうございます！(≧∀≦) (10月11日 2時) (レス) id: 013ef55b68 (このIDを非表示/違反報告)
ChachaY - 時間がないなかすみませんでしたm(_ _)mこれからの更新楽しみにしています*\(^o^)/* (10月7日 13時) (レス) id: ee598f31ef (このIDを非表示/違反報告)
れお(プロフ) - ChachaYさん» コメントありがとうございます！更新が遅くてすみません。中々書く時間を取れなかったり、ストーリー構成に悩んだりして遅くなってしまっていますが、必ず最後まで書くつもりですので、気長に待っていてもらえればと思います。 (10月3日 1時) (レス) id: 013ef55b68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作成日時：2023年2月1日 6時
