ヒカリ (ページ38)

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電話は切れていないのにAからの返事はなく、俺が慌てて家を出ようとすると

琴「樹！どこ行くの？！」

樹「ちょっと出てくる。」

琴「行かないで」

樹「琴音。ごめん。今だけは聞けない」

琴「Aさんがこうなったのだって樹のせいだからね？」

樹「おまえ、Aに何したんだよ」

琴「樹が悪いんだよ？私のこと置いて行こうとする樹が悪いんだよ？」

樹「だからってAは関係ないだろ！」

琴「なんで私ばっかり辛い思いしなきゃいけないの？なんで私ばっかりこんなきたない身体にならなきゃいけないの？だから、あの子にも同じ思いしてほしかったの！私ばっかりズルいよ」

泣きながら訴えてくる琴音を前にしても俺の頭はAでいっぱいだった。

琴音を無視して家を出ようとしたけど、

琴「いいの？樹が行っちゃったらあの子どうなるかわかんないよ？学校でも一人ぼっちだね」

樹「学校のいじめも琴音がしたのか？」

琴「あの子が私から樹を奪おうとしたから！樹がこれ以上あの子と関わるならどうなるかわかんないよ？あの子助けたいなら、もう、あの子に関わらないで。」

琴「私、樹のせいで普通じゃなくなったんだよ？」

琴音が涙を流しながらまっすぐに俺の目を見て言った。

俺のせいで、Aを傷つけて。
俺のせいで、琴音を壊したんだ。

そんな俺に神様は自由なんて与えてくれるはずない。

琴音は今すごく苦しんでる。

なのに、Aのさっきの言葉が頭から離れない。

Aと関わらないことがAを救えるのなら。