ヒカリ (ページ11)

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Juri

最近Aの様子が変なのは気づいてた。

でもそれが俺のせいなんて知らなくて、話しててもどこか上の空で、

ある時帰ろうと思って渡り廊下を歩いていると、体育館の裏で誰かが殴られていた。

被害者が誰かは一瞬でわかった。

俺がそこに着いた時にはもうAの姿はなくて周りを探してもどこにもいなかった。

その時一年の教室がある校舎で聞いたんだ。

「ねぇ、あの３組の佐々木ってさ、親にも施設にも捨てられたってマジ？」
「マジらしいよ？そんなんで樹先輩たちと絡むからいじめられるんだよね」
「陰キャは陰キャらしく大人しくしとけばいいのにね」

そうゆうことかよ。

なんであいつ何も言わないの？
なんであいつ辛い顔しないんだよ。

次の日の昼休み俺は彼女を連れだした。

肩を少しつかむと、

『いたっ』

やっぱり。たぶん肩だけじゃないんだろう。

樹「ねぇ、なんで言わないの？」

『なんで言う必要があるんですか』

樹「俺のことでされてるんでしょ？」

『分かってるなら私に構わないでください。』

樹「ねぇ、なんで泣かないの？」

『え？』

樹「この前は全然笑わないとか言ったけど、笑わなくていいから、俺の前では泣いてもいいから」

『私、慣れてるのでこういうの。』

樹「嘘。それ泣きながら言うことじゃないから」

自分が泣いてる事に気づいてなかったのか、頬を触れて少し驚いていた。

樹「慣れてもらっちゃ困るの。俺には、寂しいなら寂しいって言いなよ。苦しいなら苦しいって言いなよ。言葉にできなくても、表情にしなよ」

『なんで、私に構うんですか？なんで優しくするんですか？私はあなたたちみたいに綺麗じゃないし、住む世界も違うんです。私はひとりで生きていかなくちゃいけないんです。私は影なんです！だからもう、』

樹「すごく綺麗だよ。初めて会った時からこんな綺麗な子初めてだったよ。俺の方が汚いよ。だからあんたに笑ってほしかった。だから、俺の前では泣いていいから。」

そうなんだ。俺の方がよっぽど汚くて、ズルくて、弱いんだよ。

こうやってかっこつけてるけど、それだって自分を肯定する為なんだ。

ごめんな。